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介護分野の人材不足が深刻化する中、外国人労働者の受け入れ拡充にまつわる政府の法整備の動きが注目されています。従来、介護分野で働く外国人は、就労制限のない地位や身分に基づく在留資格を有する場合を除き、インドネシア・フィリピン・ベトナムの三国と締結する「経済連携協定(EPA)」に基づく在留資格「特定活動」を有する外国人に限定されていました。EPAとは国際間の経済関係強化の観点から締結される協定です。このEPAの枠組みを利用し国内の介護分野で受け入れられる外国人は、既に母国で介護や看護資格を取得していること、日本の介護施設で4年間就労しながら介護福祉士の国家資格を目指すことを要件とされています。しかし、実際には、専門用語の習得など、国家試験合格に達する水準の日本語能力が求められることが障壁となり、同制度による受け入れ人数は伸び悩んでいます。
労働災害に関しては、労災保険給付が行われる場合には、使用者は労働基準法上の補償義務を免れます。しかしながら、使用者は、外国人労働者に対しても日本人労働者に対してと同様、安全配慮義務を負っており、当該労働災害について使用者の過失がある場合には、労災保険給付により労働基準法上の補償義務が果たされたとしても、安全配慮義務違反や不法行為責任を根拠として、民事上の損害賠償請求を受けることがあります。
損害賠償請求において損害とされるものは、財産的損害と精神的損害(慰謝料)に分けられますが、財産的損害を算定する根拠が、逸失利益です。逸失利益とは、事故がなければ得られたであろう利益のことを言い、特に、外国人労働者の労働災害をめぐる裁判においては、一時的に日本で就労する外国人労働者の逸失利益の算定方法が争点となってきました。
平成9年の最高裁判決(※)は、この争点について、その後の裁判例においても受け入れられる考え方を示しました。すなわち、逸失利益の算定について日本人と外国人との間に違いはないとしながらも、外国人労働者の来日の目的、在留資格の有無・内容・期間、在留資格更新の実績等を個々に具体的に勘案し、当該外国人労働者が日本に滞在可能である期間については日本で得るであろう賃金収入を基礎とし、日本出国後は、出国先(母国の場合が多い)における収入等(日本円に換算します)を基礎として逸失利益を算定することが相当としました。
(※)改進社事件・最高裁平9・1・28判決
昨年11月に公布された「技能実習法」について、改正内容の詳細が公表されました。同法は外国人技能実習生(以下実習生といいます)の保護を図るための技能実習制度の適正管理と、同制度の拡充推進を目的としたものです。