社員の給与計算を行う際には、税務・労務・社会保険に関する正確な知識を要するものですが、特に海外勤務者の給与計算の場合は、日本のみならず、赴任先国の税務・労務・社会保険に関する知識が要求されます。今回は、海外勤務者の日本支給給与に関する注意事項をご紹介します。
例えば、現地法人への在籍出向により赴任する海外出向者の場合、日本親会社支給の給与(いわゆる留守宅手当)を日本で受けながら、赴任先国において、現地法人より現地払い給与を受けるケースが多く見られます。このような場合、以下のような事項に注意を要します。
◆日本親会社支給の給与(留守宅手当)に関する注意事項◆
・(一定の要件により)日本の非居住者に該当すると、所得税が
課税されません。
ただし、この場合でも賞与の算定期間が居住者の期間に対応
する部分については、非居住者の国内源泉所得として20%の
源泉徴収を要します。
・(一定の要件により)市町村で海外転出の手続を行うと、翌年
から住民税が課税されません。
・(一定の要件により)介護保険被保険者非該当の手続を行うと、
介護保険料の支払義務が発生せず、給料からも徴収する必要
がありません。
・出向により、日本支給給与に大幅な変動がある場合、社会保険
料の随時改定(いわゆる月額変更)の手続きが必要になります。