社会保障協定の動向①に記載したように近年拡大の動きが活発化している「社会保障協定」とは、いったいどのようなものか確認してみましょう。
社会保障協定とは、社会保障制度への二重加入や年金保険料の掛け捨てなどの問題を解決するため、二国間で締結される協定です。
その目的は以下の通りです。
◆ 社会保障協定の目的 ◆
(1) 二重加入の防止
医療保険・公的年金・労働保険などの社会保険は、属地主義により現在居住している国の制度に加入するのが原則です。
(※そもそも外国人の加入を認めていない社会保障制度を有する国はこの通りではありません。)
しかし、日本企業から出向により海外派遣される海外勤務者については、日本本社との雇用関係が継続しているものとして、日本の社会保険に加入することとなります。
そして、同時に、原則通り現在居住している国、すなわち派遣先国の社会保険にも加入しなければなりません。
このように海外勤務者は、日本の社会保険制度と派遣先国の社会保険制度への二重加入を余儀なくされ、社会保険料を二重に負担せざるをえません。
多くの場合、海外勤務者の負担を軽減するため、日本本社が派遣先国の社会保険料を全額負担しており、社会保険料は日本企業の海外競争力を阻害する遠因になっているともいわれています。
社会保障協定は、海外勤務者の派遣期間が一時的なものと認められる場合に、派遣先国の社会保障制度への加入を免除することを二国間で約し、社会保険制度への二重加入の弊害を防止するものです。
ただし、各国との協定内容により、相手国によって一部例外があります。