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成和ビジネスコンサルティング新着情報

【国際労務教室】外国人労働者の安全確保措置
 外国人労働者の雇用拡大が進展する中、外国人労働者が労働災害に巻き込まれることも少なくありません。厚生労働省が発表する労働災害発生状況によると、労働災害による死傷病報告がなされた外国人労働者の死傷者数は、平成22年度以降1,200人台で推移しています。
 外国人労働者の労働災害を防止するための対策としては、厚生労働省が発表する指針「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」が参考になります。
 それによると、外国人労働者の安全確保措置としては、①安全衛生教育の実施、②労働災害防止のための日本語教育等の実施、③労働災害防止に関する標識、掲示等、④労働安全衛生法等関係法令の周知の4つの措置が重要とされます。
 いずれの措置についても外国人労働者との言葉や文化の違いによるコミュニケーション・ギャップを埋める方策をとらなければ、事業主としての安全配慮義務は果たせません。
 安全衛生教育には、外国人労働者が理解できる言語を使用する、写真やユニバーサルデザインのイラスト等を用いて説明する等の配慮が必要です。また、労働災害防止のための日本語教育の実施については、基本的な業務上の指示・合図のほか、緊急の指示をする言葉「止まれ」「入るな」等の具体的・実践的な教育が有効です。このような外国人労働者に対する安全確保措置を実施することにより、外国人を雇用する事業主は、自社の社員を守り、さらに安全配慮義務違反という労務リスクを回避することができるのです。
 

 

 
【国際労務教室】建設分野の外国人技能実習制度の拡大

 人材不足が叫ばれる昨今、政府は、喫緊の対応が求められる職種として、「介護、保育、看護、建設」を「重点4部門」と位置付け、雇用環境改善施策やダイバーシティ(多様性)経営を推進しています。中でも、建設分野の人材不足は、2020年東京オリンピック関連の一時的な建設需要に対応する担い手を確保することが特に緊急の課題とされています。
 この課題への対応策として、緊急かつ時限的な措置(2020年度終了)として、建設分野の外国人技能実習制度が拡充されます。平成26年7月に法務省より発表された出入国管理法の改正案に関する意見公募(※募集終了)によると、改正内容の概要は以下①~④の通りです。管理監督体制の強化を前提とし、平成27年4月からの施行が予定されています(※一部を除く)
 ①建設分野技能実習を修了し、素行が善良であった外国人労働者が対象とされます。②①による外国人建設就労者は、1年ごとの更新により最大2年以内の建設特定活動に雇用関係の下で従事することが可能となります。③管理団体及び受入企業は、建設分野技能実習を一定期間実施したことがある事業者であり、善良なものに限定されます。適正管理計画の認定を受ける必要があります。④従来の技能実習制度と同様に、「日本人が従事する場合の報酬と同等額以上」の報酬が支払われることが求められます。建設分野においては、従前より、国土交通省の指導の下、社会保険の加入促進・賃金水準確保などの処遇改善対策が取り組まれています。外国人労働者も日本人と同様に対象となることに注意を要します。

 
【国際労務教室】海外赴任の途上における労働災害

 日本国内の事業主から海外で行われる事業に派遣される労働者については、海外派遣者として労災保険に特別加入していなければ、日本の労災保険により労働災害に対する保護を受けることができません。「海外派遣者」とは、①日本国内の事業主から海外の事業場に労働者として派遣され、その事業場の使用者の指揮命令を受け働く人又は、②日本国内の事業主から、海外にある中小規模の事業に事業主等として派遣される人などが該当します。
 一方、「海外出張者」の場合は、国内労働者と同様、目的地に向かって出発し帰着するまでの全行程が事業主の包括的な支配を受けているものとして、その間の行為について業務遂行性が認められ、国内の事業場の労災保険の保護を受けることができます(※)
 ここで注意すべきなのが、海外赴任に伴う移転のため、赴任前住居等から海外事業場に赴く途上で発生する災害への対応です。実は、この海外赴任の途上における災害は、一定の要件に該当する場合、「海外出張」とは認められず、海外派遣者の補償の範囲とされています。
 万が一の場合に労災保険の保護を受けられないことがないよう、着任日に先立ち現地に赴く場合など、海外事業場に赴く労働者の移動が「海外出張」であるのか、赴任に伴う移転のための移動(すなわち「海外派遣」)であるのか、その実態を慎重に確認する必要があります。

(※)出張業務に通常伴うものとは認められない、積極的な私的行為や恣意行為中の結果による災害の場合は、業務遂行性が認められません。

 
【国際労務教室】高度外国人人材のポイント制要件緩和

 労働力人口減少による日本経済の弱体化を防ぐため、長期的な外国人受け入れ推進策として日本政府が選択した方法が「高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度」です。2012年5月に、技術革新の創出等に貢献しうる高い能力・資質を有する外国人を、選別して優先的に受け入れる戦略として導入されました。
 高度人材として認められるには、学歴・職歴・年収等の要件をクリアする必要があり(各項目のポイント合計70点以上)、高度人材として認定されると、①複合的な在留活動が許容される、②在留期間「5年」が付与される、③在留歴に係る永住許可要件が10年以上から5年以上に緩和される、④配偶者の就労が認められる、⑤一定条件の下で親や家事使用人の帯同が許容される等の優遇措置を受けることができます。
 しかしながら、実際には、同制度導入後11か月間で認定を受けられた人数が全国で434人(※)と、認定要件が厳しすぎることが課題となっていました。そこで、今年2月には、認定要件が緩和されると共に優遇措置の見直しも行われました。
 認定要件の緩和として、最低年収を全年齢最低300万円に緩和し、外国における報酬も年収に算入できるようにしました。さらに、親の帯同のための年収要件を1,000万円から夫婦合算で800万円に引き下げる等、家族ぐるみで優秀な外国人を日本に定住化させる取り組みが目指されています。

(※)法務省「高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度の見直しに関する検討結果(報告)」(2013年5月)

 
【国際労務教室】海外赴任者の帰任手続き

 海外赴任者の帰任手続きについては、不慣れな場合、後追い的な対応になりがちです。赴任者の帰任時に会社が行うべき労務管理・社会保険に関する対応について確認してみましょう。
 まず、労務管理の観点から、多くの場合在籍出向をしている赴任者に対する出向命令を解くため、帰任命令を発令します。出向命令の解除は、労働者の地位に大きな影響を及ぼすものです。帰任命令と同時に帰任後の労働条件(配属先、賃金、勤務時間、休憩時間等)を示すことが求められます。また、海外赴任時と同様、帰国時にも海外赴任者の健康診断を実施することが安全衛生法により事業主に義務付けられています。
 社会保険の手続きとしては、「介護保険適用除外等該当届」を提出していた場合は、「介護保険適用除外等非該当届」を提出し、介護保険料の控除を開始します。「被保険者住所変更届」を提出していた場合にも、帰国後の国内住所に変更する手続きを要します。労災保険については、「海外派遣者の特別加入変更届」の提出が必要です。特別加入労災保険と国内労働者の労災保険とでは、保険料率が異なり、納付すべき労働保険料の額に影響があります。 
 当然のことながら、これらのほかに、帰任後の税務上の取扱い(源泉徴収事務、確定申告を行う必要性の確認、住宅ローン控除再適用に関する手続き等)にも注意を払う必要があります。さらに、帰任者自身で行うべき転入手続き、印鑑証明の再登録などの市町村における手続きについても、帰国前に会社が情報提供を行うことが、帰任者への国内再適応の支援に繋がります。