衆議院選挙の民主党圧勝による農政への影響が見えてきました。
農林水産省の「経済危機対策」農地集積加速化事業が見直しされる方向です。
井出事務次官が、7日の記者会見において明らかにしたところによると、
農林水産省は、事業主体である「全国担い手育成総合支援協議会」に対して、補助金支給を行わないように申入れを行いました。
◆農地集積加速化事業とは?
農地の貸し借りを促進して、農地の面的集約を図る事業です。
最大のポイントは、
農地の貸し手(所有者)に、交付金を交付すること。
①交付金額
農地10アール当たり
最高 15,000円/年 (最長5年分)
②条件
地域の面的集積組織に6年以上貸付を任せて、
担い手の利用する農地が1ha以上のまとまりになること。
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/yosan/hosei_gaiyou/h_jigyou/pdf/n-ke-1.pdf
◆民主党の主張
6月23日に民主党では「国の事業仕分け」と題した事業の点検を行っています。
その際に、農林水産省管轄では、
①農地集積加速化事業、②農村振興整備事業補助
の二つの事業が取り上げられました。
このうち、①農地集積加速化事業(予算額:2,979億円)は新しい事業であり、農林水産省としては、6月17日に成立した農地法改正法のポイントでもある賃貸による農地利用の促進に適うはずの事業でした。
しかし、民主党では、貸手より借手への助成の方が有効であるという意見で、不要な事業と判断されていました。
農林水産省では、民主党への政権交代が明らかになったため、既に不要な事業の代表格と評価されている当事業の執行を凍結したことになります。
自民党の票田と思われていた農村票をも集めた民主党への政権交代の実現により、今後の農政にも大きな変化が見られそうです。
最大の農政の転換となる民主党主張の「戸別所得補償制度」は、これから具体策が明らかになります。
日本の農産物は、安い労働力を背景とした輸入農産物との価格競争には勝てない現状から見て、農家の所得補償は、今後の日本の農業の行方を左右する大切な政策です。
既に農地法の改正が成立し(H21年中には施行されます)、農地の賃貸に広く門戸が開かれるという大きな節目の年に、政権交代によって、農業政策も大きく変更されることになりそうです。
新しい政策が、農業の担い手不足を解消する政策となるのか、そして、国民の理解を得られる政策となるのか、今後の行方に注目が集まります。