海外赴任者が仕事に対する意欲を保ち海外事業所で活躍するためには、日本本社の労務管理部門のバックアップが不可欠です。処遇に関する不満が無い状態でこそ、ビジネス上の高いパフォーマンスが発揮できると言えます。しかし、残念なことに海外赴任者の多くは、処遇に関する不満を少なからず抱えていることが多いようです。彼らが抱く処遇に関する不満の事例を挙げてみましょう。
【海外赴任者の処遇に関する不満の事例】
①他社の海外赴任者と比べて処遇が悪いようだ。
日本人同士の交流会で他社社員と情報交換する場面が
多くあります。比較しやすいのは、家族帯同手当・子女教育
手当の額、海外赴任者保険・社宅・一時帰国休暇等の内容
です。
他社と比べてフェアな処遇でないと不満を抱かせてしまい
ます。
②海外赴任をして、結局給与が上がったのか下がったのか
わからない。
海外赴任者の給与は日本給与と海外給与に分けられ、
海外の税金や社会保険料を会社が負担する手取補償方式
をとるケースが多いようです。日本勤務時より給与形態が
複雑になるため、結局、海外赴任の苦労に比べて、給与に
ついて自分が得をしたのか損をしたのかわからない。
こうした不満は、海外赴任者と日本本社の労務管理部門とのコミュニケーション不足により増大されます。日本本社としては、海外赴任規定を作成し、海外赴任後の処遇がどのように変わるのか説明を尽くす、海外赴任者が処遇について聞きやすい雰囲気を作るといった対応を要します。赴任者の最大の不満が「本社の労務管理部門のフォロー不足」とならないよう注意が必要です。