今年度も労働保険料の申告・納付を行う「年度更新」の時期が近づいてきました。社員の労働保険料を年度単位で計算する年度更新時期は、海外赴任者の労災保険に関しても一定の手続きを要するため、海外赴任者の労災保険制度について検証する好機でもあります。
海外赴任者は、原則として日本の労災保険の適用を受けず、現地の労災保険制度の適用を受けますが、外国人に労災保険が適用されない国や、労災保険の給付内容が不十分な国に派遣された場合、海外赴任者に不利益が生じることもありえます。
そこで、本来、日本の労災保険が適用されない海外赴任者に対し、特別に給付を受けることができるようにした制度として、「海外派遣者の特別加入制度」があります。
この特別加入制度を、年度更新時期に検証するポイントには、以下の事項が挙げられます。
◆海外派遣者の特別加入制度に既に加入している場合
・保険料及び保険給付のベースとなる給付基礎日額の設定が適切であるか。
(万が一の際には、生涯受け取る年金給付に影響するため、慎重に検討する必要があります。)
・派遣期間の延長、派遣終了に関する手続き、赴任者変更に関する手続きの漏れはないか。
・第三国への赴任に関する手続き漏れはないか。
◆海外派遣者の特別加入制度に未加入の場合
・同制度と民間海外旅行保険の給付内容を十分検討した上で、加入の必要性の再検討する。