外国人に不法就労をさせたり、不法就労をあっせんする事業主が「不法就労助長罪」により処罰されることは広く知られていますが、当該外国人が不法就労者であることを事業主が知らなかったとしても処罰の対象となることはあまり知られていません。
過失により「不法就労助長罪」に該当すると、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処せられますが、企業にとっては、社会的信用を失うことの方が大きな痛手となります。
不法就労となるケースは、①不法滞在者が働く場合、②短期滞在・留学・研修・家族滞在等の就労不可の在留資格で働く場合、③在留資格の活動範囲を超えて働く場合の3つのケースがあります。過失により不法就労者を雇用してしまうケースとしては、②や③のケースによる事例が見られます。
不法就労によるリスクを回避するためには、外国人を雇用する際に、①就労可能である在留資格の有無、②在留期限、③在留資格の種類により就くことが可能な職務について、正確に確認する必要があります。2012年7月以降、「外国人登録証明書」から切り替えられつつある「在留カード」には、これらの基礎情報と「就労制限の有無」、「資格外活動許可欄」の欄があり、必要な情報を確認することができます。ただし、有効期限が切れている等、最新の情報の記載がない資料を提示される場合もあるため、その際は、パスポートを提示してもらい、付与される上陸許可の認印により在留資格を確認する必要があります。