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【国際労務教室】海外派遣者の労災保険料上限の引き上げ

 労災保険制度には、海外勤務者の多くが任意加入する海外派遣者の特別加入制度があります。日本の労災保険制度が適用されない海外勤務者も、労災保険給付を受けられるよう救済する制度が、海外派遣者の特別加入制度です。
 この特別加入制度の保険料の上限が、平成25年9月から引き上げられます。同制度の保険料は、労災給付の算定基礎となる「給付基礎日額」を選択することにより決定されます。この給付基礎日額の上限が、従来の20,000円から25,000円まで引き上げられます。
 例えば、遺族補償年金を受給することを想定すると、給付基礎日額が20,000円の場合には、遺族が一人のケースでは、20,000円×153日分の306万円が遺族補償年金として、毎年支給されます。給付基礎日額が25,000円の場合には、これに765,000円が毎年増額されることになります。年間の保険料は、7,300円増額しますが、万が一の場合の受給額には相当の差が生じることが容易に計算されます。
 海外派遣者の特別加入制度には、労災給付に上乗せ支給される「ボーナス支給金」という特別支給金が適用されません。上記のケースでは、国内勤務者には、遺族補償年金と同額程度の遺族特別年金というボーナス特別支給金が支給されますが、海外勤務者はこれを受給することができません。海外勤務者の労災保険料設定を検討する際には、国内勤務者に比べこのような不利益が生じることも踏まえ、年収とバランスのとれた補償が受けられるよう配慮が必要です。