昨今、海外子会社の社員を日本本社に招へいし、日本本社の技術等を習得させたいと考える海外進出企業が多く見られます。この場合、日本への招へいが、「就労」を目的とせず、技術等の習得をする活動を目的としているのであれば、申請するのに適当な在留資格は、「研修」または「技能実習」の二つが挙げられます。
この内、在留資格の「研修」については、特に、「実務研修」を受けさせるための要件に注意を払うことが求められます。「実務研修」とは、商品を生産・販売をする業務または対価を得て役務を提供する業務に就くことにより技能等を習得する研修のことをいい(※1)、民間企業の現場等において、個々の技術を学ぶ研修のことを指します。
「実務研修」を含む研修を行うためには、実施主体が地方公共団体等の公的機関、国際機関等であるか、あるいは、国、地方公共団体等の資金により主として運営される事業として行われる研修である必要があります(※2)。国等の資金により運営される事業による研修制度としては、現状、国庫補助事業の一つである「新興市場開拓人材育成支援事業」(※3)が例として挙げられます。民間企業としては、実務研修を行うための上記の要件が懸念されるところですが、このような公的な支援制度を有効に活用したいものです。
(※1)商品を生産する場所・時間について、あらかじめ区分された場所・時間において行われるものを除きます。
(※2)この他にも、全研修時間に占める実務研修時間の割合など、様々な要件があります。
(※3)研修事業の運営は、一般財団法人海外産業人材育成協会が行っています。