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【国際労務教室】外国出張中の伝染病罹患に係る労災の取扱い

  エボラ出血熱の流行が国際的な拡がりを見せ、日本においても社会的関心が高まっています。

社員が出張中にエボラ出血熱のような伝染病に罹患し、あるいは感染症に感染した場合、労災保険の給付は受けられるのでしょうか。

 そもそも「出張」とは、事業主の包括的または個別的な指示命令に基づいて通常の勤務場所を離れ、他所において業務に従事するものをいいます。出張中は、移動や宿泊を含む全過程について、事業主の包括的な支配を受けているものと解され、積極的に私的行為を行った場合や恣意行為を行った場合などの特別な事情がない限り、出張中の行為には一般に「業務遂行性」が認められます。

 従って、急性伝染病の流行地に出張した出張者が当該病原体に汚染されて罹患したことが明らかである場合は、業務上の疾病として取り扱うべきとされます(※1。出張という業務に内在する危険が現実化したものとして、「業務起因性」が認められるからです。

 また、感染症については、医療従事者が業務に関連して感染した場合は、業務災害と認められることは当然ですが、労災患者が、療養中にいわゆる院内感染により罹患した場合も、要件に適合すれば業務に起因するものとして認められます(※2

(1)23814基収1913号。昭29818基収2691号によると、一定の潜伏期間をおいて帰国後に発症した事例も業務災害として判断されています。(2) 51029基発619号。MRSA感染症に関する通達です。通勤災害により療養を行っている労災患者の感染にあっては、通勤に起因するものと判断されます。