農林水産省の公表(※1)によると、2016年に入り初めて自営農家の農業就業人口が200万人を割り、農業者の高齢化が益々進む一方、若手就農者の推進が停滞する実態が浮き彫りになりました。このように担い手不足の課題を抱える農業分野においては、本来の国際貢献と人材育成という制度趣旨とは異なるものの、外国人技能実習生が労働力の一端を担っています。
農業分野において、外国人技能実習生を受け入れる際に注意すべきことは、労働条件の確保に関する施策です。他産業と比べ通年雇用の常勤労働者の労務管理に不慣れなことが多い農業分野において、最低賃金法に違反する時間外労働手当の支給、時間管理の不徹底による賃金不支給、社会保険制度適用の不整備などの不適切事案が指導される例が見受けられます。
さらに、労働基準法に定める労働時間、休日、休憩に関する規定は、同法第41条第1項により、農業(林業除く)、畜産・水産業において適用除外とされているのに対し、農業分野の外国人技能実習生受入機関を統一的に指導する農林水産省の指導基準(※2)においては、外国人技能実習生制度の趣旨や労使トラブルの未然防止に鑑み、他産業と同様な労働時間管理や割増賃金の支給が求められている点にも注意が必要です。
(※1)平成28年農業構造動態調査(平成28年6月28日農林水産省公表)によると、約192万人とされました。
(※2)「農業分野における技能実習生の労働条件の確保について」平成25年3月付、「農業分野における技能実習移行に伴う留意事項について」平成12年3月付、農林水産省により各々通知。)