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【国際労務教室】外国企業の日本駐在員事務所と労働基準法の適用
 外国企業の日本進出誘致が進められる中、外国企業が日本にビジネス拠点を設ける初期段階において、駐在員事務所を設置することがあります。本格的な営業活動を行うための準備として、市場調査や情報収集、広告を中心とする活動を行う拠点として設置されます。
 
 外国企業が日本に進出する形態としては、他に支店や子会社(日本法人)の設立の二形態がありますが、これらが登記の手続きを伴うのに対し、駐在員事務所は登記の手続きを経ることなく設置されるものです。法人格のない駐在員事務所については、設置をした外国企業の本社または駐在員事務所の代表者個人が契約当事者とならざるを得ません。
 
 ここで注意すべきは、当該駐在員事務所で勤務する人材の労務上の取扱です。わが国で行われる「事業」には、事業主又は労働者が外国人あるいは外国法人であるかを問わず、原則として、労働基準法が適用されます。「事業」とは、一定の場所において、相関連する組織のもとに業として継続的に行われる活動の一体をいいます。従って、外国法人の本社又は駐在員事務所の代表者が赴任させた人材や雇用した人材に、一定の場所において、指揮監督の下、継続的に業務に従事させる場合、当該駐在員事務所は、労働基準法の適用事業として解されます。
 
 駐在員事務所は、法人格がなく行政の指導を受けにくい状況になりがちですが、労働基準法、労働安全衛生法等の労働法規が適用される点に自ら留意する必要があります。   
 
 参考文献:日本貿易振興機構(ジェトロ)「Laws & Regulations on Setting Up Business in Japan」