中国では、新型コロナウィルスの感染拡大による企業、特に小規模零細企業の負担軽減を目的として、社会保険料免除や減額のほか、各種の優遇税制による措置がとられました。これらの措置の一部は2021年以降も実施されることとされ、また2022年に入って新たな優遇措置も発表されています。今回は、2022年に適用される小規模企業に対する優遇税制のうち、増値税の仕入増値税還付措置について概説します。
中国国家税務総局の発表では、今回の仕入増値税増還付措置により、市場に約1.5兆元の現金がもたらされるものと考えられており、単に新型コロナウィルスの感染拡大により疲弊する中小企業への優遇措置としての意義だけではなく、大型経済対策としての意義を有しているものと考えられます。また、今回の優遇措置によって、条件を満たす企業の設備投資に伴う仕入増値税額は翌月には還付を受けられることとなり、設備投資に伴う企業のキャッシュフローへの負担が軽減されることになります。この点で今回の優遇措置は直接的には中国国内での設備投資を促進する効果を有するとともに、間接的には海外からの投資を促進する効果をも有するものと考えられます。
なお、直近の発表では、4月1日から5月10日までの期間で既に149.5万の納税者に対して9,138億元(約18.2兆円)の還付が実施されたものとされており、スピード感をもって対応されていることがうかがわれます。
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