わが国では、外国法人税の二重課税の排除措置として、税額控除方式と損金算入方式の選択制が採用されています。したがって、内国法人は申告に際して、納付した外国税額について、いずれかの方式の選択が必要となります。この場合、どちらが有利となるのでしょうか。
理論的には、税額控除方式の場合には、納付税額が外国税額の分減少するのに対して、損金算入方式の場合には、外国税額に日本の適用税率を乗じた分しか減少しないことから、税額控除方式が有利といえます。しかし、実際、税額控除方式の適用においては、外国税額の全額が無条件に控除対象となるわけではなく、一定の限度額計算を行うことにより控除対象とならない外国税額(※1)が生じる場合があること、限度額を超過する税額は3年間に限り繰り越すことになりますが、3年を超える場合には切り捨てとなることもあり、損金算入方式の選択が有利となるケースもあることから、両制度の選択には慎重な検討が必要となります。
税額控除方式と損金算入方式は事業年度ごと選択することが可能ですが、損金算入方式を選択する場合、前3年より繰り越している控除限度超過額(及び控除余裕額)が切り捨てられる(※2)ことや、実務上、税額控除と損金算入の選択は、当該事業年度の外国税額すべてにおいて一括して選択する必要があり、部分的な選択(併用)はできない(※3)ことに留意が必要です。
(※1)外国税額控除の対象とならないものを除き、当該外国税額は損金不算入となります。(※2)法人税施行令第144条第2項、第145条第2項(※3)法人税基本通達16-3-1