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税理士法人 成和新着情報

医療費控除における提出書類の簡略化

 平成30年1月1日以後において、平成29年分以降の所得税につき、医療費控除の適用を受ける場合に必要な提出書類の簡略化が図られています。簡略化の内容は2点あります。

 一つ目に、医療費の領収書の添付が不要となりました。一方で、「医療費控除の明細書」の添付が必須となり、領収書は自宅等での保存が求められるようになっています。ただし、経過措置として平成29年分から平成31年分までは、領収書の添付又は提示するという従来の方法も認められています。なお、領収書の保存期間は確定申告期限等から5年間であり、当該期間中に税務署からこれを求められたときは、領収書を提示又は提出しなければならない点に注意が必要です。
 
 二つ目に、医療保険者から交付を受けた医療費通知を申告書に添付した場合には、上記の「医療費控除の明細書」の記載が省略できることになりました。具体的には健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」等が挙げられますが、医療費控除の明細書の記載が省略できる医療費通知とは、次の①から⑥に掲げる6項目が記載されている必要があります。
 
 ① 被保険者等の氏名 ② 療養を受けた年月 ③ 療養を受けた者
 ④ 療養を受けた病院、薬局等の名称 ⑤ 被保険者等が支払った医療費の額 ⑥ 保険者等の名称
 
 この6項目を「医療費のお知らせ」等に記載するか否かは、発行者である各医療保険者に委ねられています。そのため、全ての「医療費のお知らせ」等が医療費控除の明細書の記載が省略できる書類として利用できるものではないことに注意が必要です。
 
【国際税務教室】 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換(CRS)制度

 国際基準に従って、非居住者の金融口座情報を各国の税務当局との間で自動的に交換する制度(「非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度」)が、今年(平成30年)からスタートします。

 経済のボーダレス化が一層の進展を見せる中、国際的な脱税や租税回避に対処するためには国外の情報の入手が重要となります。従来から、各国の税務当局は二国間の租税条約を締結し、租税に関する情報を互いにやり取りする仕組みを設け、運用してきました。OECDでは、このような仕組みに対して、金融機関の事務負担を軽減しつつ、効率的な情報交換を行う事を目的として、非居住者の金融口座の特定方法や情報の範囲等を共通化するための国際基準-「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」(以下、「CRS」とします。)を策定しています。わが国もCRSに従った自動的情報交換の制度が、今年から開始することになります。
 
 具体的にみれば、各国の税務当局はそれぞれ自国に所在する ①金融機関から、②非居住者の金融口座情報((ⅰ)口座保有者の氏名、(ⅱ)住所、(ⅲ)居住地国、(ⅳ)外国の納税者番号、(ⅴ)口座残高、(ⅵ)利子、配当等の年間受取総額等)の報告を受け、これら情報を各国の税務当局と自動的に交換します。
 
 現在、日本を含む100以上の国・地域がCRSに従った情報交換を開始すると表明しており、当局間の合意形成の上、実施されます。したがって、今年以降は、日本の居住者が外国に開設した金融口座の情報はこのCRSに従った自動的情報交換により、外国の税務当局から日本の税務当局に自動的に提供されます。前述のとおり、交換される情報には利子、配当等の年間受取総額といった情報も含まれることから、申告漏れを起こさないような対応が必要といえます。
 
 
事業承継税制の現状と今後

  今後の税制改正の原案となる平成30年度税制改正大綱が、先月22日に閣議決定されました。今回の税制改正大綱の目玉の一つが「事業承継税制の拡充」です。平成21年に創設された事業承継税制は、事業承継の円滑化を趣旨として、中小企業の株式に係る相続税や贈与税の納税が大幅に猶予・減免されるものであり、今回予定されている拡充内容は以下の通りです。

1. 納税猶予対象が100%へ拡充
 納税猶予の対象となる株式数が2/3から制限なしに、納税猶予される割合が80%から全額に引上げられます。ただし、施行日後5年以内に認定革新支援機関の指導・助言を受け、後継者や経営見通し等が記載された承継計画を作成する必要があります。
 
2. 経営者以外の株主から贈与等された株式も納税猶予対象に
 後継者が経営者以外の株主から贈与等を受けた場合にも納税猶予の対象となり、更に納税猶予の対象となる後継者が、1名から複数名に拡充されます。
 
3. 納税猶予の条件としての雇用確保要件の緩和
 従業員の雇用確保要件を満たすことができなかった場合であっても、一定の書類を都道府県に提出することを条件として猶予期限が延長されます。
 
4. 経営環境が変化した場合の減免制度
 経営環境が悪化(一定の条件あり)して、株式を譲渡するとき、又は合併・解散によって会社が消滅するとき等には、納税猶予税額が免除されることになりました。
 
 
【国際税務教室】 恒久的施設(PE)規定の見直し(平成30年度税制改正大綱)

 平成30年度税制改正の大綱が決定されました(※1)。国際課税についてみれば、恒久的施設(Permanent Establishment)―以下、「PE」とします。)関連規定の見直しを行うとされています。

 OECDモデル租税条約では、二重課税防止のため、事業所得に対する源泉地国での課税は、その国にPEが存在する場合についてのみ受けるとされており、国際的課税ルールといえます。
PEには、支店や工場等、事業を行う一定の場所であって、事業の全部もしくは一部を行う場所に加えて、(そのような場所を持たなくても)企業の名で契約を締結する者も該当する(以下、「代理人PE」とします。)とされています(※2)。この場合、源泉地国内の販売契約の名義が企業ではなく代理人である場合は、代理人PEに該当しないことから、企業が源泉地国内の受託者に販売を委託する契約(いわゆる「コミッショネア契約」)を締結し、源泉地国内で受託者が(企業ではなく)受託者の名で販売契約を締結するといった、人為的なPE認定の回避が問題視されていました。
 
 このようなコミッショネア契約による人為的なPE認定の回避に対処するため、OECDのBEPSプロジェクトでは、代理人PEの定義を現状より拡張する行動計画が定められています(※3)
 
 平成30年度の改正はこのBEPS行動計画を受けたものであり、代理人PEの定義が見直されることによりその範囲が拡張されます。すなわち、非居住者等の資産の所有権の移転に関する契約を反復して締結し、又は、契約締結のために反復して主要な役割を果たす者を代理人PEに加えるとされています。
 
(※1) 平成29年12月22日閣議決定。
(※2) OECDモデル租税条約第5条。なお、代理人業を通常業務とする独立代理人は除かれます。
(※3) BEPS行動計画7「恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止」
 
契約書と印紙税の関係について

  印紙税の課税対象文書は、印紙税法別表第一に掲げられている文書に限定されています。しかし、契約書を例にとってもその契約内容や記載方法は千差万別であることから、当該契約書が課税文書に該当するか判断に迷うことが少なくありません。

 収入印紙の不貼付けに対するペナルティー(過怠税)には、本来納付すべき印紙税の3倍の金額が課されます。税務調査の時点で貼付していないことが故意ではない為に、1.1倍の過怠税で済む場合も多いのが実情です。しかし、同種の契約についての契約書の様式は、企業において継続的に利用されることから、当該契約書が課税文書に該当するか否かの判定や、課税文書の所属判定の誤りが大きな影響を与える場合があります。
 
 印紙税法上の「契約書」は、一般的に言われるものよりも範囲が広く、印紙税法基本通達第12条で「『契約書』とは、契約当事者の間において、契約(その予約を含む。)の成立、更改又は内容の変更若しくは補充の事実(中略)を証明する目的で作成される文書」とされています。従って、申込書、注文書、依頼書などと表示された文書であっても、契約の成立等が証明されるものについては、印紙税法上は契約書に該当することになります。
 
 なお、課税文書であってもコピー、ファックスや電子ファイル化したもので、契約当事者の署名若しくは押印又は証明のないものは、基本的には課税対象とはなりません。ただし、契約書を2通以上作成した場合や、契約書に副本、謄本、写しなどと表示して作成した場合には、その契約の成立等が証明されるといえることから印紙の貼付が必要になります。