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税理士法人 成和新着情報

電子申告の更なる促進に向けて

 税務手続の電子化については、平成16年2月に運用が開始されて以来、約10年あまりが経過したところですが、近年ではその利用率が足踏み状態にあることから、利用促進に向けて以下の税制改正が行われています。

 1.青色申告特別控除額(65万円)の引き下げ
2020(平成32)年度以降の所得税及び2021(平成33)年度以降の個人住民税から青色申告特別控除額が10万円引き下げられ、55万円となります。ただし、以下のいずれかの要件に該当すれば65万円となり、現行と控除額が変わらないこととなります。
   ・電子帳簿に対応していること
   ・期限内に電子申告(e-Tax)していること
 したがって、紙ベースで帳簿を記載(電子帳簿について税務署長等の承認を受けることなく、市販の会計ソフト等を使用している場合を含む。)しており、かつ、紙ベースでの確定申告を行っている方にとっては、現行通りの65万円控除を維持するためには、上記のどちらかの対応を迫られることになります。
 
 2.電子申告(e-Tax)による法人税等申告の義務化
事業年度開始時の資本金の額等が1億円超である内国法人等については、2020(平成32)年4月1日以後に開始する事業年度について、電子申告(e-Tax)による法人税、地方法人税並びに消費税及び地方消費税の申告書の提出が義務付けられます。
 
 
【国際税務教室】 租税条約における賃借料(リース料)の取扱い

  海外の企業に自社が所有する資産の使用を許諾することにより、使用料を受け取ることがあります。投資所得とされる使用料(※1)は、支払地国(源泉地国)においても課税されることが一般的といえ、両国間に租税条約が締結されている場合の支払地国における課税は、条約の適用を受けることにより、条約により定められた税率を制限としてなされます(※2)

 使用料への租税条約の適用に際して、当該使用料が租税条約に規定される使用料に該当するのか否か、判断に迷う場合も少なくありません。その場合、租税条約には使用料の定義を規定する条項があることから、実務的にはそれに則して取り扱うことになります。
 
 OECDモデル条約では、8つの「無形資産等」(以下、「無形資産等」とします。)が使用料として定義されており、「設備の賃借料(リース料)」(以下、「リース料」とします。)は使用料の定義から除かれています。他方、国連モデル条約では、無形資産等に加えてリース料も使用料として定義されています。我が国が締結した租税条約についてみれば、多くの条約は無形資産等に加えてリース料を使用料として定義していますが、アメリカ、タイとの租税条約のように、リース料を使用料の定義から除外するものもあります(※3)。したがって、リース料について租税条約の適用を検討する場合には、使用料の定義に留意する必要があります。
 
(※1)源泉地国のPE(恒久的施設)に帰属する場合には、投資所得ではなく事業所得として課税されます。
(※2)租税条約によっては、居住地国の排他的課税権を認める(源泉地国での課税をしない)場合も存在します。
(※3)アメリカは「事業所得」条項、タイは「明示なき所得」条項が適用されます。
 
 
災害による税務上の措置について

 この度の平成30年7月豪雨により被害を受けられた皆様に、心からお見舞い申し上げます。

 今回の豪雨のように災害により被害を受けた場合には、申告納税等において困難が生ずることから、主要なものとして以下のような税制上の取り扱いがあります。

 1. 申告、申請、納付等の期限を延長する措置

 2. 所轄税務署長に申請、承認を受けることによる納税の猶予

 3. 雑損控除又は災害減免法の適用による所得税の全部又は一部の

   軽減

 4. 消費税の届出に関する特例

  (「消費税課税事業者選択届出書」等の期限後提出の承認等)

 一方で、事業者として被災した取引先の支援をできないかとお考えの経営者もいらっしゃると思われます。法人が行った被災した取引先に対する支援については、一例として以下のような税務上の措置があります。

 1. 被災前の取引関係の維持・回復のため、復旧を目的として取引先に

   対する災害見舞金、事業用資産の供与等のために要した費用は、交

   際費等に該当しないものとして損金の額に算入されます。

 2. 復旧支援を目的として売掛金、貸付金等の債権を免除する場合に

   は、その免除することによる損失は、寄附金又は交際費等以外の費

   用として損金の額に算入されます。

 3. 不特定又は多数の被災者を救援するために、自社製品等の被災者

   に対する提供に要する費用は、寄附金又は交際費等に該当しないも

   のとして損金の額に算入されます。

 
 
【国際税務教室】 親会社が負担する海外出向者給与の損金性

 多国籍企業は、海外に所在する子会社(以下、「現地法人」とします)に親会社の従業員を在籍出向させることが一般的です。在籍出向者には、現地法人から支払われる給与に加えて、親会社からも給与が支払われるケースが通例といえます。このように両国において支払われる在籍出向者の給与は、実務的には、出向元となる親会社と出向先となる現地法人との間で取り決められた割合を、それぞれの法人が負担することが多いものと考えます。この場合、出向元となる親会社が負担する給与ついて、法人税法上の損金性に迷う場合が少なくありません。

 在籍出向者が労務提供を行う先は出向先であることから、出向先が全額の負担をすべきという原則にたちながらも、他方、出向元が負担することに合理的な理由が存在する場合には、それを認めるといった考え方が存在します。合理的な理由とは、どのようなものが想定されるのでしょうか。具体的には、在籍出向が出向元の都合により行われており、出向元が従業員を在籍出向させることにより、何らかの利益を得ている場合など、出向元が負担する給与に対価性が認識できる場合が想定されます。また、そのようなケース以外でも、法人税基本通達(※)が出向元と出向先の給与条件に較差が存在し、出向元が雇用契約に基づき当該較差を補填する目的で負担する給与(以下、「較差補填給与」とします。)の損金性を認めていることから、実務的には較差補填給与も合理的なものとして取り扱われています。税務調査で問題となることが多い在籍出向者の給与負担の損金性について、損金算入の根拠と範囲について正しく理解をし、損金性の説明ができるように、内容の整理が求められます。
 (※)法人税基本通達9-2-47
 
 
法人税法第22条の2の創設

 収益認識会計基準の導入を受けて、法人税法第22条の2が創設されました。法人税法第22条の2において、収益の額は、別段の定めがあるものを除き、その資産の販売等に係る目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入することが定められました。

 一方で、収益認識会計基準に対応する消費税法の改正が行われていないことから、取引によっては法人税と消費税の間で、計上時期及び計上額が乖離する可能性がある点に注意が必要です。例えば、収益の計上単位について、収益認識会計基準は「履行義務単位」で計上するとしており、法人税もこれを踏襲する一方で、消費税は従前の通り原則として「取引単位」で収益を計上することとなります。
 
 そのため、商品の販売と保守サービスが混在する契約で、それぞれの対価が合理的に区分されていない場合には、法人税については、商品の販売は引渡し時点で、保守サービスはサービスの提供期間にわたり履行義務を充足すると判断して、その提供期間に応じて収益を認識します。しかし、消費税は「取引単位」で収益計上することから、商品の販売と保守サービスともに引渡し時点において収益計上することとなります。
 
 また、収益認識会計基準は、平成33年4月1日以後開始事業年度からの強制適用となりますが、法人税法第22条の2は、平成30年4月1日以後「終了」事業年度からと、収益認識会計基準に先んじて適用となっている点についても留意が必要となります。