一般的に通勤手当は給与課税されないものと思われがちですが、給与として課税される場合もあります。
所得税では、通勤手当について所得税法9条五で「…その通勤に必要な交通機関の利用…のために支出する費用…のうち…通常必要であると認められる部分(所得税法施行令20条の2に基準が示されている。)」は非課税(給与課税されない)と規定されているので、これを超える通勤手当は「給与」として課税(源泉徴収)されることになります。
ところで経理担当者は、この通勤手当について消費税の可否判断をする際に「所得税法上非課税とされる部分は課税仕入で、超えた部分は給与なので不課税かな?」と判断しがちであるが、消費税法基本通達11-2-2では「…通勤者…に支給する通勤手当…のうち…通勤者がその通勤に必要な交通機関の利用…のために支出する費用に充てるものとした場合に、その通勤に通常必要であると認められる部分の金額」は課税仕入れに該当するとされていることから、所得税の規定にかかわらず、その通勤手当が通勤者の通勤費用に充てられるものとした場合に、その通勤手当の額が通常必要なものであるときは、課税仕入れに該当することになります。
通常、通勤手当を支給する場合、会社ごとに定められた基準により支給されますが、その基準による支給額が「通常必要」であるかどうかの精査をし、その結果「必要」であると判断されれば、所得税の規定にかかわらず、消費税では課税取引となることに留意が必要です。