農業経営収入保険の保険金及び特約補填金のうち国庫補助相当分(以下、「保険金等」とします)は、保険期間の年又は事業年度(以下、「保険期間の課税年度」とします)の確定申告期限後(すなわち、保険期間の翌課税年度)に金額が確定し支払われます。この保険金等について、税務上は、保険金等の額が確定した日の属する課税年度の総収入金額又は益金(以下、「収益」とします。)ではなく、保険期間の課税年度の収益として、保険期間の課税年度の確定申告に際して見積計上を行う事とされています(※)。見積計上を行うという性質上、見積計上額と実際に支払われる保険金等との間に差額が生じる場合も想定されます。そのように差額が生じた場合、税務上はどのように取り扱うのでしょうか。
原則的な取り扱いによれば、保険期間の課税年度の所得の金額を是正することになります。具体的にみれば、① 見積計上額が実際の保険金等の支払額を上回っていたことにより、税額を多く申告している場合には、「更正の請求」を行い、正しい税額への訂正を求めることができます。また、② 見積計上額が実際の保険金等の支払額を下回っていたことにより、税額を少なく申告している場合には、「修正申告」を行い、正しい税額に修正する必要があります。
原則的な取り扱いは上記の通りですが、それには一定の手間もかかることから、見積計上額と実際に支払われた保険金等の金額との差額が少額である場合には、保険期間の課税年度の所得金額を是正することに代えて、保険期間の翌年又は翌事業年度の所得の金額を計算する際、当該差額を減算又は加算することにより調整することができるとされています(※)。
(※)「農業経営収入保険に係る税務上の取扱いについて」農林水産省経営局保険課長29経営第3611号