このページではJavaScriptを使用しています。

国内・国際税務、農業の会計・税務コンサルティングを行う税理士法人 成和。

 

HOME > 税理士法人 成和新着情報

  • 成和グループ各社
  • 税理士法人 成和
  • 成和ビジネスコンサルティング
  • 上海成和ビジネスコンサルティング
  • ベトナム成和ビジネスマネジメント

税理士法人 成和新着情報

【農業税務教室】 農業経営基盤強化準備金制度の対象者の要件の変更(追加)

  2022年(令和4)年4月1日以降に開始する事業年度から、農業経営基盤強化準備金(以下、「準備金」とします)制度の対象となる者の要件が変更(要件が追加)されます(※)

 準備金制度とは、経営所得安定対策等の交付金を活用して、計画的に農用地、農業用の建物・機械の取得がなされるように、税制面から農業者を支援する特例措置であり、原則的に課税対象とされる交付金の額について、一定の要件を満たす農業者が、所定の手続きにより当該交付金を準備金として積立てた場合には、当該積立額を損金(必要経費)とすることができるといったものです。

 これまで、準備金制度の対象者は、①青色申告を行う、㋐認定農業者である、個人もしくは農地所有適格法人、又は、㋑認定新規就農者(個人)とされておりました。変更後は、これに②人・農地プランに位置付けられた中心経営体である事という要件が追加されます。したがって、変更後は、①かつ②の要件を満たした、㋐又は㋑の農業者が準備金制度の対象者とされます。

 「人・農地プラン」とは、農業者の高齢化・耕作放棄地の増加等といった課題へ対処するため、今後の地域農業の中心となる経営体や、将来の地域農業の在り方などを、地域の話し合いに基づいて明確化したもので、市町村により公表されています。しかし、実務的には、人・農地プランの中で地域の中心となる経営体として位置付けられているとしても、何らかの証明書が発行されるといったこともないことから、自身が中心的な経営体か否かについて、認識が曖昧な場合が散見されます。したがって、引き続き準備金制度を活用する場合には、自身が中心的な経営体であるのか否かについて、経営農地が所在する市町村への確認が必要といえます。

(※) 個人の農業者の場合には、令和5年分の所得税からの適用となります。

 
 
【国際税務教室】 外国税額控除の適用時期(所得税法)

  日本国内の証券会社を通じて外国の株式や債券などに投資を行う者も散見されます。特定公社債とされる外国の債権の利子(※1)や上場外国株式から配当(※2)を受け取ることにより、確定申告を行うこともあるかと考えます。そのような場合には、外国税額控除の適用を受けることができます。外国税額控除とは、国際的二重課税を防止することを目的とした制度であり、所得税の場合、対象となる外国税額は、外国の法令に基づいて外国又はその国の地方公共団体によって、個人の所得に課税される税額が対象となります。法令上、外国税額控除は、居住者が源泉地国に外国税額を「納付することとなる日」の属する年分に適用されます(※3)が、実務的には、この適用時期について迷う場合も少なくありません。

 「納付することとなる日」とは、租税債務が確定する日と解されており、具体的には、①申告納税方式による場合には、申告書を提出した日、②賦課課税方式による場合には、賦課決定の通知があった日、③源泉徴収による場合には、対象の所得が支払われた日の属する年分を適用時期として外国税額控除を行います。なお、継続適用を条件として、納付が確定した税額について、実際に納付した日の属する年分に適用を受けることも認められています(※4)
 また、外国税額控除は、租税条約が締結されていない国で課税された所得税についても、期限後申告、修正申告、更正の請求においても適用することができます。
(※1)一般公社債の場合には「差額調整方式」による源泉分離課税とされることから確定申告は不要となります。(※2)源泉分離課税の選択をすることができます。(※3)所得税法95条1項(※4)所得税基本通達95-3
 
 
私立学校入学に伴う寄付金は「すぐ支払わないで」

  私立高校入試を終えた保護者から「入学手続きの際、学校から渡された書類に寄付金の納入書が同封されており・・・」と、任意ではあるが、納入しなければ子供の進学に影響するのでは、との相談がありました。

 そのような影響があるのかどうかはわかりませんが、納付をするのであれば「寄付を入学する年ではなく、翌年1月以降」にしたほうが、税務上の特典が受けられるため、検討をしてみてはいかがでしょうか。

 所得税法上、学校に対する寄付のうち、一定の要件に該当するものは、NPOなどに対する寄付と同様に所得控除(所法78)または税額控除(租法41の18の2)の対象となるとなるため、その寄付がこの要件に該当するのか否かを確認することが必要です。しかし、要件に該当していても入学願書受付の開始日から入学が予定される年の年末までの期間内に納入したものは「学校の入学に関してするもの」とみなされ、原則として、この特典を受けられないことに留意が必要です(所基通78-2)

 私立学校の寄付金は、従来は設備費に充てられることが一般的でした。しかし、最近では成績優秀者の学費を免除する特別奨学金制度が増えており、学校はその財源に寄付を充てることで社会に優秀な人材を送り出すことができれば、そちらのほうがメリットは大きいと考えているのかも知れません。

(注)所得控除は、年間の寄付金合計額-2,000円(年間総所得金額の40%が限度)、税額控除は、(年間の寄付金合計額-2,000円)×40%(所得税額の25%が限度)で計算される。

 
 
【農業税務教室】 インボイス制度の導入と農産物直売所(委託販売)

  農産物直売所は、委託販売方式にて運営されている例が多く見られます。令和5年10月1日から導入されるインボイス制度の原則からすれば、委託販売の場合、委託者(農業者)が購入者にインボイスの交付を行う必要が生じます。しかし、それは困難であることから、インボイス制度においては、販売を受託する媒介者(直売所)が、委託者(農業者)に代わってインボイスを発行することを可能とする特例(以下、「媒介者交付特例」とします。)が用意されています。直売所の場合、購入者の商品は複数の農業者の農産物が混在していることが通例です。媒介者交付特例においては、そのように複数の委託者の商品を纏めて販売した場合であっても、一括して一枚のインボイスによって交付することが認められています(※)。しかし、販売した商品の中に、免税事業者である委託者(農業者)の商品が存在する場合には、媒介者交付特例の適用が、委託者と媒介者の双方がインボイスの発行事業者であることが要件とされていることから、インボイスの交付はできません。そのような場合には、媒介者(直売所)が受託者(農業者)ごとに取引を計算し記載を行った上で、課税事業者の氏名及び登録番号を記載したインボイスを発行するといった、代理交付により対応することが可能です(※)。しかし、この対応には大規模なシステム改修が必要と考えられ、現実的ではないとも考えられます。

 実務的には、直売所の購入者の中で、インボイスを必要とする顧客は限定的と考えられるとこから、インボイスを必要とする顧客に限定して、レジシステムとは別途インボイスを発行するためのシステムを構築する、もしくは、直売所の取引を委託販売方式から消化仕入方式(顧客の購入時点で、直売所が農業者から農産物を買い取るといった形式)へと契約関係の見直し、直売所がインボイスを発行するなど、対応方法についての検討が必要といえます。

(※) 国税庁:インボイス制度に関するQ&A 問40

 
 
【国際税務教室】 外貨建取引の円換算(邦貨への換算レート)

 確定申告の時期が近づいて参りました。申告に際して、外貨建取引を、①どのようなタイミングの、②どのようなレート用いて円換算するのかについて、迷う場合も少なくありません。

 外貨建取引の円換算は、原則として、①その取引を行ったときの、②外国為替の売買相場によるものとされています(※1)。具体的には、①円換算は外貨建取引の都度行うこととされ、②適用するレートは対顧客直物電信売相場(TTSレート)と対顧客直物電信買相場(TTBレート)の仲値(TTMレート)によることとされています(※2)。ただし、外貨建取引が不動産所得、事業所得、山林所得、雑所得にかかるもので、帳簿等を外国通貨表示で作成をしている場合には、継続的に適用する事を条件として、①その年の年末における為替相場(又は年平均値)により換算することができます(※3)。②その場合、売上等収入の計算及び資産の金額についてはTTBレートを、仕入その他経費等の支出の計算及び負債の金額についてはTTSレートを用いて計算することができます(※4)。このように、収入についてはTTBレートを採用し、必要経費についてはTTSレートを採用して計算した場合には、収入及び必要経費の両者についてTTMレートを採用して計算した場合に比べて、所得金額が少なくなります。

 これらのレートは、各金融機関において若干の違いが生じますが、原則としてその個人の主たる金融機関のレートを採用することとされています(※5)。

(※1)所法57条の3 (※2)所基通57の3-2 (※3)所基通57の3-7、及び同注書 (※4)所基通57の3-2 (※5)所基通57の3-2(注)1