令和4年度税制改正の大綱(以下、「大綱」とします。)が2021年12月24日に閣議決定されました。それによれば、農林水産物及び食品の輸出促進を目的として、輸出事業用資産の割増償却制度(以下、「農林水産物輸出拡大税制」といます。)を創設するとされています。
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令和4年度税制改正の大綱(以下、「大綱」とします。)が2021年12月24日に閣議決定されました。それによれば、農林水産物及び食品の輸出促進を目的として、輸出事業用資産の割増償却制度(以下、「農林水産物輸出拡大税制」といます。)を創設するとされています。
令和4年度税制改正の大綱(以下、「大綱」とします。)が2021年12月24日に閣議決定されました。それによれば、子会社株式簿価減額特例が一部見直されます。
子会社株式簿価減額特例とは、令和2年度の税制改正により創設された制度で、内国法人が子会社株式等を取得した後に、配当益金不算入制度を適用して当該子会社から配当等を非課税で受領した上で、当該配当によって時価が下落した子会社株式等を譲渡することにより、(実質的に投下した資金の回収をしているにも関わらず)税務上の損失を創出するといった国際的なM&Aを利用した租税回避(※)を防止するために講じられた制度です。具体的には、親会社が一定の支配関係にある外国の子会社等から一定の配当等の額(みなし配当を含みます)を受ける場合、子会社株式の帳簿価額から、その配当の額につき益金不算入とされた金額相当額の減額を行う措置となりますが、この特例においては、適用対象とする必要がないと考えられるような一定の場合を除外する仕組み(以下、「適用除外要件」とします。)や、グループ法人間で操作(子法人を経由した配当を用いたスキーム)を行うことにより、本来当該特例の適用を受けるべき者が適用を回避することを防止するための仕組み(以下、「適用回避防止規定」とします。)が設けられています。
大綱では、適用除外要件のひとつである「特定支配日利益剰余金金額要件」(親会社が子会社を取得した後に生じた利益を原資とする配当を適用対象外とする要件)の判定と、適用回避防止規定の適用対象の見直し(緩和)がなされています。
(※)ソフトバンクグループが行ったM&Aが有名であることから、ソフトバンクスキームとも呼ばれています。
新年あけましておめでとうございます。
新型コロナウィルスによる影響で、家で過ごす時間が増えたこともあり生活様式が今までと変わった方も多いでしょう。その時間を楽しむために、ふるさと納税の返礼品で生活に潤いを与えるようになった人も多いことと思います。
ふるさと納税は年末調整で控除を受けることができないため、確定申告をすることとなりますが、確定申告に代えてワンストップ特例制度というものがあります。これを利用すれば確定申告をしなくても住民税から自動的に控除されるため、一見便利な制度に見えますが・・・
ふるさと納税をするときは、通常年間収入見込み額から寄付限度額を推計しますが、例えば最終給与支給日が12/25である場合、年間収入の確定額がぎりぎりまでわからず、確定額が見込み額より少なければ、結果として寄付限度額を超える寄付をしてしまう場合もあるわけです。その場合であっても、ワンストップ特例制度を受けることはできますが、住民税の特例控除分の計算において、その制度上、確定申告をした場合に比べ、控除額が少なく計算されることになってしまいます。つまり、確定申告をしたほうが有利となります。
令和3年分の確定申告から、ふるさと納税の確定申告が簡素化(寄付ごとの寄付金受領書に代えて、特定事業者が発行する年間に寄付額を記載した寄付金控除に関する証明書を添付することが認められました)されましたので、ご自身の税金を取り戻すため、確定申告に挑戦してみるのもよいのではないでしょうか?
企業の成長力を高めるため、権限と責任の明確化や最適な経営資源の配分などの視点から、企業経営をグループ化するケースも見られます。そのような場合、税制上、適格組織再編やグループ法人税制の適用が可能とされる完全子会社化(100%子会社化)の構築が、有力な選択肢の一つとなります。
農地所有適格法人をグループ化する場合、原則的には、農地法上の議決権要件及び役員要件(※1)を満たす必要があることから、農地所有適格法人の要件を満たした形で完全子会社とすることはできません。しかし、認定農業者であり、かつ農地所有適格法人の要件を満たす株式会社の場合、農業経営基盤強化促進法(以下、「基盤強化法」とします。)における、要件の緩和措置(①議決権要件の特例、②役員要件の特例)(※2)を活用することにより、農地所有適格法人の要件を満たした形で完全子会社化を行うことが可能となります。
基盤強化法の ①議決権要件の特例によれば、子会社が親会社からの出資に関する事項を記載した農業改善計画について、市町村からの認定を受けた場合には、親会社によって子会社の1/2以上の議決権の取得することが可能となります。しかし、その場合においても、農地法上の役員要件に従い、子会社の役員の過半を子会社の農業に常時従事する構成員(株主)とする必要があることから、完全子会社とすることができません。
しかし、加えて ②役員要件の特例を満たす場合、すなわち、親会社の常時従事者かつ構成員(株主)である役員に子会社の役員を兼務させ、かつ、子会社の農業に30日以上従事させるなど、一定の要件をみなす場合には、当該兼務役員が、子会社の農業に常時従事する構成員(株主)たる役員とみなされる(当該兼務役員は子会社の構成員(株主)でなくてもよいことになる)ことから、完全子会社とすることが可能となります。
(※1)農地法2条3項2~4号(※2)農業経営基盤強化促進法14条1項、2項
CRS(共通報告基準- Common Reporting Standard)を活用した税務調査が増加しています。現在、各国の税務当局の間で、非居住者の金融口座情報をOECDが策定した国際基準に従って自動的に交換する制度が、ワールドワイドに運用されています。この国際基準がCRSとなります。
ところで、租税法上の法律関係を無期限に不確定の状態にしておくのは好ましくないとの見地から、課税当局により税額等の更正決定等ができる期間には制限があります。これを除斥期間といいます。通常の場合の除斥期間は、法定申告期限から5年間とされます(※1)が、国外の取引等に関する課税については、別の取扱いが設けられています。
CRSに基づく情報は、調査の端緒情報とはなるものの、課税処分に至るには、税務調査を通じた的確な事実認定が必要とされます。しかし、全ての納税者の協力を得られるとも限りません。そのような場合、課税当局は、国外に赴いて事実関係を聴取することが執行管轄権の制限により困難とされることから、租税条約に基づく課税当局間の情報交換制度を活用して、事実関係の確認を行うことになります。これには相当の期間を要することもあります。したがって、除斥期間が満了してしまうことも想定されることから、国外取引又は国外財産について、① 納税者が書類を提出・提示しない場合において、② 税務当局が租税条約の規定に基づき、外国の当局に対して情報の入手・提供を要請した一定の場合には、通常の除斥期間に関わらず、相手国等に対して情報提供要請に係る書面が発せられた日から3年間は更正決定を行うことができるとされています(※2)。(※1)通則法70条1項 (※2)通則法71条4項