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税理士法人 成和新着情報

インボイスで家計が苦しくなる?(消費者目線での話)

  私たち消費者が買い物をした際に負担している消費税って、そのお店がそのまま国に納税しているのでしょうか?違いますよね、そのお店も商品を販売するために材料などを購入しており、その際に消費税を負担し、さらに仕入先も・・・のループが繰り返されています。

 私たち消費者が負担している消費税の総額は、このループに存在するすべての事業者が納税する消費税の総額に一致しますが、途中に消費税を納めなくてもよい免税事業者が存在すると、その免税事業者が本来納めなければならない税額分の差額が生じる・・・これが、いわゆる益税と呼ばれるものです。(便宜上、医療のような非課税取引があるケースは割愛します。)

 インボイス導入後は、このループの中の状況が変わってくる可能性があります。免税事業者はインボイスを発行できないため、免税事業者から仕入れる事業者は消費税法上不利な立場に置かれ、インボイス導入前の利益を確保できなくなってしまうのです。これを回避するためにできる唯一の行動は「販売価格を上げる」ことです。そのため、免税事業者よりループの下流にある事業者はそれぞれ値上げを余儀なくされ最終的に消費者の手元に届くころには・・・ということになる可能性もあります。いままではループにおいて仕入税額控除という消費税の仕組みが機能し価格上昇は起こらなかったが、途中にインボイスを発行できない免税事業者が介在すると、そこでループが途切れ、それより下流で価格上昇が起こりうるのです。

 インボイスが発行できない免税事業者目線でのコラムはよく見られますが、ループが途切れてしまった場合の消費者における影響も、可能性があるという理解は必要でしょう。

 
 
【農業税務教室】 インボイス制度の導入と従事分量配当

 

  2023年(令和5年)101日から、消費税の仕入税額控除の方式が適格請求書等保存方式(以下、「インボイス制度」とします)に変更されます。インボイス制度の導入により、従事分量配当制をとる農事組合法人は大きな影響を受けることから、事業計画の再検討を行うなど、対策が求められます。

 従事分量配当制をとる農事組合法人の場合、従事分量配当が課税仕入れとされる(※1)ことから、消費税の課税事業者となり、一般課税方式による申告を通して、消費税額の還付を受ける法人も少なくありません。

 現行されている消費税の仕入税額控除方式(区分記載請求書等保存方式)においては、一定の帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件とされており、取引相手が消費税の課税事業者であるか否かは、仕入税額控除との直接的な関係はありません。したがって、従事分量配当制をとる農事組合法人にとって、従事分量配当を支払う組合員が消費税の免税事業者であるとしても、一定の帳簿及び請求書等を保存している限りにおいて、当該従事分量配当は仕入税額控除の対象取引とされます。

 他方、インボイス制度の下では、請求書等に代えて、税務署の登録を受けた課税事業者が発行する適格請求書(いわゆる「インボイス」)等の保存が、仕入税額控除の要件とされます。したがって、この制度の導入後は、免税業者との取引は(免税事業者が適格請求書の発行ができない事から)仕入税額控除の対象となりません。 従事分量配当を支払う組合員は、通常、ほとんどが免税業者であると想定されます。したがって、インボイス制度の導入後は、免税事業者である組合員の従事分量配当が、仕入税額控除の対象の取引とならないことから、消費税の納付税額が増加する(※2)ことに注意が必要です。

(※1)平成24227日 東京国税局審理課長 回答 

(※2)影響を緩和するため、制度導入後3年間は80%、その後の3年間は50%を控除可能とする経過措置が設けられています。

 

 
【国際税務教室】 デジタル課税(市場国課税)と最低税率課税への合意

  2021年7月1日、OECDから、130の国・地域が、国際課税改革のための新しい枠組みの創設に合意したとの声明が発表されました。この合意は、これまでの国際課税のルールを改訂するものとされ、①「市場国による課税のためのルール」(Pillar One ―物理的拠点がなく販売を行ったとしても、市場国に課税権の分配をするもの。以下「市場国課税」とします)と、②「世界のどこかで最低税率で課税を行うためのルール」(Pillar Two ―所得の源泉地における実効税率が15%未満であっても、最終親会社で最低税率まで合算課税を行うもの等。以下「最低税率課税」とします)の二つの柱から構成されています。

 デジタル化した経済下では、市場国に物理的拠点を置くことなく事業展開が可能となります。そのような事業に対して、物理的な拠点の有無を基礎として各国が課税権を分配するといった、これまでの国際課税のルールを適用する場合、市場国に適切な課税権が分配されないとう問題が生じていました。また、デジタル化した経済下では、事業の核となる無形固定資産は移転が容易であるという特徴を利用して、それを軽課税国へ移転させることが可能となります。これにより、デジタル化した経済下では、市場国で課税されないといった問題に加えて、利益が軽課税国へ移転されやすいといった二つの問題が議論されてきました。今回の合意は、これらの問題に対処するため、国際課税に「市場国課税」と「最低税率課税」の二つのルールを導入し、多国籍企業がデジタル化した経済下の中、どこで事業を行ったとしても、公平に税を負担することになる制度の構築を目指すものといえます。

 具体的な実施計画は、本年10月に開催されるG20で決定される予定とされています。

 
 
結婚のタイミングで親からお金をもらった場合

  2021年11月は縁起がいいとされる日(11/6の大安・一粒万倍日・母倉日・大明日、11/12の大安・天赦日など)が重なり、これらに合わせ結婚の日取りを決めたカップルも多いと報じられております。

その結婚のタイミングで、親や祖父母など(直系尊属という)からまとまったお金をもらうこともあるかもしれません。そんなときに知っておきたいのが贈与税に関する非課税措置です。

 通常、年間に110万円を超える財産の贈与を受けると贈与税がかかるため、結婚の場面においても、祝儀(一般常識の範囲内のものに限ります)以外に、結婚式の費用等贈与があれば贈与税がかかってしまいます。しかし平成27年4月以降は「結婚・子育て資金の一括贈に係る贈与税の非課税措置」により、一定の条件を満たす場合に「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出することで、結婚・子育て資金あわせて1,000万円(結婚資金だけなら300万円)まで贈与税が非課税となります(※1)

 対象となる支出は、結婚資金は「挙式費用や衣装代等の婚礼費用、家賃、敷金等の新居費用、転居費用」など、子育て資金は「不妊治療や妊婦健診、分べん費用や産後ケアに要する費用、子供の医療費、幼稚園・保育園等の保育料やベビーシッターの費用」などがあります。(※2)

 金額が大きな非課税制度なので、その適用を誤ると多額の贈与税が生じる可能性があるため、この制度の適用を検討している場合には、専門家に相談しながら進めることを推奨します。

 (※1)租税特別措置法第70条の2の3、租税特別措置法施行令第40条の4の4(※2)国税庁タックスアンサーNo.4511

 
 
【農業税務教室】 肉用牛免税(肉用牛売却所得の課税の特例)適用者の総所得金額

 肉用牛農家の経営の安定化と国産牛肉の安定供給を目的として、肉用牛の売却による農業所得の課税の特例(以下、「特例」とします。)が設けられています。当該特例は、農業を営む個人及び農地所有適格法人が飼育した肉用牛を所定の家畜市場等において売却し、かつ1頭当たりの売却金額が免税基準価額未満である場合には、年間売却頭数1,500頭を上限として、売却により生じた所得に対する所得税や法人税を減免する制度となっています(※)

 所得税法上、扶養控除対象者の判定や、雑損控除、医療費控除、寄付金控除、事業専従者控除等の控除額の計算を行う場合、その者の所得金額の合計額(以下、「総所得金額」とします。)を基礎のひとつとして判定や計算がなされます。その場合、当該特例を適用する個人の総所得金額は、いくらと認識するのでしょうか。

 農業を営む個人について、この特例を適用し確定申告を行う場合、①青色申告決算書等により、当該特例適用前の所得金額を計算した後に、②「肉用牛の売却による所得の税額計算書(兼確定申告書付表)」を使用して、当該特例の適用を受ける所得金額の計算を行い、③ ①から②を控除した残額、すなわち当該特例を受ける所得金額を除いた所得金額を、確定申告書の農業所得金額欄に転記を行った上にて、所得税額の計算を行うことになります。したがって、確定申告書上の所得金額の記載のみからすれば、当該特例の適用を受ける者の農業所得は、特例適用を受ける所得金額を除いた金額(特例の適用により減額された金額)に見えます。しかし、当該特例は所得を減免するものではなく、所得税を減免する措置である事から、当該特例を受ける個人の総所得金額は、(確定申告書に記載されるの所得金額が、特例適用後の金額となっているとしても)当該特例の適用前の所得金額となることに注意が必要です。(※)租税特別措置法25条、67条の3