私たち消費者が買い物をした際に負担している消費税って、そのお店がそのまま国に納税しているのでしょうか?違いますよね、そのお店も商品を販売するために材料などを購入しており、その際に消費税を負担し、さらに仕入先も・・・のループが繰り返されています。
私たち消費者が負担している消費税の総額は、このループに存在するすべての事業者が納税する消費税の総額に一致しますが、途中に消費税を納めなくてもよい免税事業者が存在すると、その免税事業者が本来納めなければならない税額分の差額が生じる・・・これが、いわゆる益税と呼ばれるものです。(便宜上、医療のような非課税取引があるケースは割愛します。)
インボイス導入後は、このループの中の状況が変わってくる可能性があります。免税事業者はインボイスを発行できないため、免税事業者から仕入れる事業者は消費税法上不利な立場に置かれ、インボイス導入前の利益を確保できなくなってしまうのです。これを回避するためにできる唯一の行動は「販売価格を上げる」ことです。そのため、免税事業者よりループの下流にある事業者はそれぞれ値上げを余儀なくされ最終的に消費者の手元に届くころには・・・ということになる可能性もあります。いままではループにおいて仕入税額控除という消費税の仕組みが機能し価格上昇は起こらなかったが、途中にインボイスを発行できない免税事業者が介在すると、そこでループが途切れ、それより下流で価格上昇が起こりうるのです。
インボイスが発行できない免税事業者目線でのコラムはよく見られますが、ループが途切れてしまった場合の消費者における影響も、可能性があるという理解は必要でしょう。