コロナ禍で各国のEC市場が活況を呈するなか、越境ECに取り組む企業も増加しています。その場合、国際郵便を利用することも少なくありません。この度、消費税法等の改正により、郵便物として輸出した場合における輸出証明書類の見直しがなされたことに注意が必要です。
事業者が国内で資産の譲渡等を行う取引は、原則として課税取引とされます。しかし、当該資産の譲渡等が輸出取引に該当する場合には、消費税が免除されます(以下、「輸出免税」とします)。この場合の輸出取引とは、商品の輸出や国際郵便等で(資産の譲渡等が輸出取引に該当することについての)一定の証明がなされたものとされています。すなわち、輸出免税の適用を受けるためには、当該資産の譲渡等が輸出取引に該当することについての証明が必要となります(※1)。
改正前までは、郵便物(※2)として輸出した場合には、輸出年月日、輸出資産の品名や数量、受取人の氏名や住所等について記載を行った帳簿を保存することによっても、当該帳簿が輸出取引に該当することについての証明とされ、輸出免税の適用を受けることができました(※3)。しかし、帳簿へ虚偽記載を行うことにより不正に輸出免税の適用を受ける事例が散見されたことから、令和3年10月1日より取り扱いが改正されます。改正後は、帳簿への記載に代えて、郵便物に貼付した発送伝票の控や日本郵便株式会社から交付された引受証等の書類を保存することが必要となります(※4)。保存が求められる書類は、郵便物の種類の区分に応じて定められていることから、正しく認識した上で、適正に保存することが求められます。
(※1)消法7条2項 (※2)関税法76条1項の郵便物。(※3)旧消規5条1項二号 (※4)消規5条1項二号