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税理士法人 成和新着情報

定額減税の月次減税事務のミス判明時の対応

  6月より定額減税の月次減税事務がスタートした。従業員の給与等から徴収した源泉所得税を税務署に納付した後に、月次減税事務の誤りに気づいた場合の対応を説明します。

 定額減税の月次減税事務の対象となる基準日在職者(令和6年6月1日時点に在職する甲欄適用者)に対しては、定額減税額を控除した源泉所得税額を原則翌月10日に納付する必要がある。令和6年分の合計所得金額が1,805万円を超える者は定額減税の対象外となるが、たとえ1,805万円超となることが見込まれる場合であっても、基準日在職者に該当する際は月次減税事務の対象となる。月次減税事務の誤りに年の途中で気がついたとしても、年末調整(年調減税事務)で年間の所得税額との精算を行えばよいと考える向きもあるが、そのままでは誤った源泉徴収税額を納付していることになる。例えば基準日在職者に該当しない者に月次減税事務を実施した場合や扶養親族等(生計一の所得金額48万円以下の配偶者・16歳未満を含めた扶養親族)に該当しない者を減税額の計算に含めている場合は、過大に減税した状態となり本来納付すべき源泉所得税額より過小な金額を納付していることになるため、不足分を追加納付する必要がある。一方基準日在職者に該当する者に月次減税事務を実施していない場合や、扶養親族等に該当する者を減税額の計算に含めていない場合などは、過小に減税した状態になり本来納付すべき源泉所得税額より過大な金額を納付していることになるため、「源泉所得税及び復興特別所得税の過誤納の還付請求」や「源泉所得税及び復興特別所得税の過誤納の充当届出」の手続により過大分の源泉所得税額の還付等を受けることができる。

 
【国際税務教室】 所得税法上の居住者・非居住者の判定基準

 所得税法上、「居住者」は全世界所得について納税義務を負う(※1)のに対して、「非居住者」は国内で発生した所得についてのみ納税義務を負います。したがって、所得税法の取扱いについて考える場合、「居住者」及び「非居住者」への該当性は重要なポイントとなります。

 「居住者」と「非居住者」は、国内における「住所」(又は「居所」)の有無によって判断されます(※2)。所得税法には「住所」の定義はおかれておりませんが、民法(※3)の借用概念として「生活の本拠」を指すものとされています。その判定は、①住居、②滞在日数、③職業、④国内において生計を一にする配偶者その他の親族の有無、⑤資産の所在といった、その者をとりまく客観的事実を総合して検討するとされています。

 このように「住所」の判定は画一的でないことから、判断に困惑する場合も想定されます。そのため、所得税法施行令、所得税基本通達において、「住所」の有無についての事実を推定する規定がおかれています(※4)。それらにおいて、国外に居住することとなった個人についてみれば、国外において継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有する場合には、国内に住所を有しない者(=非居住者)(推定すると)されています。しかし、当該推定規定は、事実が直接証明される場合には適用されないことに注意が必要です。したがって、海外で一定の職業についている場合においても日本と海外を行き来するなどしている者についての判定は、推計規定ではなく、原則とされる「生活の本拠」の有無によりなされることになります。

(※1) 居住者のうち非永住者を除く(※2) 所得税法2条 (※3)民法22条 (※4)所得税法施行令14条、15条、所得税基本通達2-1

 
NTT通信料等のインボイス対応が6月以降から変更

  通信料金や電気料金に係るインボイスについては、その通信会社等の専用ウェブサイトより電子インボイスとしてダウンロードする形で提供している。顧客である法人等では、ダウンロードに手間がかかるとの声があがっていた。そのためインボイス制度開始後はじめてインボイスの交付対応を一部見直すことになったため変更内容等を取り上げる。

 「NTTファイナンス」が顧客に提供する請求書等は専用サイトWebビリングにて電子インボイスをダウンロード又は紙のインボイスを依頼していたが、令和6年6月請求分より毎月郵送される請求書等にインボイス番号が記載されインボイスの様式に変更。同様に「NTTドコモ」は専用サイトMy docomoにて電子インボイスをダウンロードしていたが、令和6年6月請求分より毎月郵送される請求書等にインボイス番号が記載されインボイスの様式に変更。「NTTコミュニケーションズ」はビリングステーションやOCNマイページから電子インボイスをダウンロードしていたが、令和7年1月請求分より毎月郵送される請求書等にインボイス番号が記載されインボイスの様式に変更。これに対し、「NTT東日本」「NTT西日本」の主に加入電話、フレッツ光等に係る請求書については、現在インボイスの対応を検討中で今後も専用サイトから電子インボイスをダウンロード又は紙のインボイス送付依頼となる。なおNTT各社専用サイトは電子帳簿保存法の電子取引制度の検索要件を満たさないため、電子インボイスを保存する場合、ダウンロードして自社での保存対応が必要なことは今まで通りとなる。

 
 
【国際税務教室】 国外財産調書の提出期限の変更

  居住者(非永住者を除く)の中で、その年の12月31日において5,000万円を超える国外財産を有する者は、国外財産調書を住所地の所轄税務署に提出する義務があります。令和4年度の税制改正により、令和5年分以降の国外財産調書の提出期限が、それまでの翌年3月15日から6月30日に変更されました。したがって、変更後初めてとなる令和5年分の国外財産調書の提出期限は、今年(令和6年)の7月1日(月)となります。

 実務上、提出に際して、国外財産の邦貨への換算について迷う場合が少なくありません。それらについて見れば、以下の通りです。

 提出期限の変更は行われましたが、外国通貨で表示される国外財産の邦貨への換算についての変更はありません。すなわち、替換算において適用する相場は、提出期限の後倒しと関係なく、調書を提出する者の取引金融機関が公表するその年の12月31日における最終の「対顧客直物電信買相場(TTB)(その年の12月31日に当該相場が無い場合には、当該相場のうち同日前の最も近い日の相場)を適用して換算することになります(※)

 円安が継続する現状においては、国外財産の外貨建て価額に増減が無い場合においても、為替相場によっては、邦貨建ての金額が5,000万円を超過する場合も想定されます。当該制度では、調書の未提出には罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)もあることから、為替相場も踏まえた上にて、調書の提出義務についての確認が必要です。

(※)国外送金等調書法施行令10条5項 法令解釈通達5-14

 
 
大阪・関西万博入場券購入費用の取扱い

  2025年日本国際博覧会(通称「大阪・関西万博」)が、2025年4月13日から大阪市の夢洲で開催される。SDGs達成への貢献などをテーマに掲げる大阪・関西万博の入場券を取引先などに広く交付することで企業がSDGsへの貢献や社会貢献をアピールし、自社のイメージアップを図る動きがあります。一方で入場券を購入した企業での税務上の取扱いは、国税庁の文書照会事例「大阪・関西万博に係る費用の税務上の取扱いについて(令和5年3月28日回答)」で2005年日本国際博覧会(愛・地球博)と同様に、⑴法人が販売促進等の目的で入場券のみを取引先に交付する場合の購入費用は、交際費に該当せず販売促進費等として処理する。(取引先以外に下請け先やグループ会社の取引先に交付する場合も同様の処理)⑵企業等が、従業員(家族を含む)の慰安等としての入場券の購入費用・見学のために通常要する交通費宿泊費等については、福利厚生費に該当する。(福利厚生費として処理できる前提は①希望する全従業員を対象に交付②従業員が実際使用したことを事後的に報告させる③交付を希望しない従業員に対して金銭の給付等の対応を行わないこと)と示されています。また損金算入時期は、⑴については、取引先に入場券を交付した時点で損金算入することになります。⑵については、原則として入場券を使用した時点で損金算入することになりますが、従業員に交付した時点で損金算入することとしても差し支えありません。逆に入場券をもらった者の取扱いは、「雑益」として資産計上し、用途に応じて処理することになります。交付を受けた入場券が使用されなかった場合は、閉幕時点に「雑損失」として処理します。