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税理士法人 成和新着情報

「特定口座年間取引報告書」だけでは分からないこと

  2003年(平成15)の新証券税制導入により、特定口座を持った方も多いのではないでしょうか。特定口座内の取引であれば、特定口座年間取引報告書に申告に必要な情報が記載されているため、確定申告が容易となったことが国民の多くに受け入れられたのでしょう。

 株式投資のほか、特定株式投資信託、特定信託やオープン型投資信託など、様々な商品がある中で、今回はオープン型投資信託について、書いてみたいと思います。

 オープン型投資信託とは、募集時しか買えないスポット型とは異なりいつでも売買できるのが特徴で、つまり、いつでも換金できることが最大のメリットだといえます。

 しかし、確定申告をする際には注意が必要です。一般の株式の配当であれば、総合課税を選択して配当控除を受けることが節税になる(2024年2月号参照)が、オープン型投資信託の収益の分配も同様の節税を受けられるか。という問題があります。

 特定口座年間取引報告書に書かれた金額を、確定申告書にそのまま記載して、10%の配当控除を受けられるのではなく、運用資産の内容により配当控除の率が異なってきます。具体的には、その投資信託の外貨建資産割合と株式組入割合により5%、2.5%、0%に分けられ、その判断はオープン型投資信託の目論見書などで確認をしなければならず、証券会社に確認するのが確実なのかもしれません。さらに、5%、2.5%の控除率となる場合には確定申告書に「特定証券投資信託に係る配当控除の計算書」を添付しなければなりませんので注意が必要です。

 
 
【国際税務教室】 国外居住親族に係る扶養控除の見直し(R5年分以降)

  令和5年分の確定申告において、国外に居住する親族について扶養控除等(※1)の適用を受ける場合は、適用の範囲と手続きが改正がされていることから注意が必要です。

 生計を一にする親族で所得金額が一定(合計所得金額が48万円)以下の者(※2)は、扶養控除等の対象とされます。この場合の所得は国内源泉所得に限定される事から、国外で一定以上の所得を稼得している親族であっても扶養控除の対象となります。この点についての課題が指摘されていたことから、令和5年度の税制改正により、国外に居住する親族に係る扶養控除等について、適用対象者と適用の手続きの見直しが行われています。具体的に見れば以下の通りです。

 令和5年1月から、国外に居住者する親族で扶養控除等の対象となる者は(1)年齢16歳以上30歳未満の者、(2)年齢70歳以上の者、(3)年齢30歳以上70歳未満の者のうち、①留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者、②障害者、③その居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者に限定されます。さらに、扶養控除の適用を受けるためには、上記の(1)から(3)の区分に応じて、「親族関係書類」、「留学ビザ等書類」、「送金関係書類(居住者が非居住者である親族に生活費等を支払ったことを明らかにする書類)」、「38万円送金関係書類(送金関係書類のうち、支払の金額の合計額が38万円以上であることを明らかにする書類)」を確定申告書に添付(又は申告時に提示)する必要があります。国外に居住する親族について扶養控除等を適用する場合には、改正の内容について確認が必要です。

(※1)扶養控除、配偶者控除、障害者控除、配偶者特別控除 (※2)青色事業専従者及び(白色)事業専従者を除く

 
 
配当金の有利な確定申告が今年からできなくなる?

 先日、令和6年度税制改正大綱が発表されましたが、今回の税制改正では証券税制関連で大きな改正はありませんでした。しかし、令和5年分(令和6年3月15日申告期日)の確定申告から、増税となる改正が行われたことを忘れている投資家も多いのではないでしょうか。

 その改正とは、配当を受け取った場合において「所得税と住民税の課税方法を一致させなければならない」というものです。

 令和4年分までは、配当について所得税と住民税について異なる課税方法を選択することができ、所得金額が900万円以下である場合、所得税は総合課税を、住民税は申告不要を選択することで、税負担を軽減することができました。

 しかし、令和5年分より異なる課税方法を選択できなくなったため、所得税で総合課税を選択したのであれば、住民税も総合課税を選択しなければならず、申告不要で逃げることはできなくなります。

 そうであれば、最初から申告不要とすればよいのでしょうか?いえ、結論を言えば所得金額が695万円以下であれば、総合課税を、695万円を超えたら申告不要(もしくは申告分離課税)を選択することで、税負担を軽減させることができます。

 一方で、総合課税を選択した場合、住民税も所得金額が増えることになるため、国民健康保険や後期高齢者医療保険、介護保険の保険料が増加することもあるため、配当を受け取った場合の確定申告は、課税方法の選択を慎重に行ったほうがいいでしょう。

 
 
【国際税務教室】 プラットフォーム課税の導入(令和6年度税制改正)

 多くの国外事業者が大規模プラットフォームを介して国内EC市場に参入しています。中でも、オンラインゲームに代表されるモバイルアプリ市場においては、サプライヤーである事業者が、直接消費者にコンテンツを提供するB to C取引が一般的です。国外事業者による電子通信利用役務の提供(以下、「電子商取引」とします。)に関しては、平成27年10月1日から(内外判定基準の見直しにより)新たに消費税が課されることになりました。この場合、納税義務について見れば、日本のユーザーが事業者の場合(B to B取引)には、(サプライヤーにかわって)ユーザーである事業者が納税義務を負うといった、リバースチャージ方式が採用されています。他方、日本のユーザーが消費者の場合(B to C取引)には、サプライヤーである国外事業者が納税義務を負う事になります。しかし、国内に拠点を持たない国外事業者も多く存在することから、B to C取引に関しては、納税義務の補足や調査及び徴収に関する限界が課題とされてきました。

 このような問題に対処すべく、諸外国では、(サプライヤーにかわって)プラットフォーム運営事業者を最終消費者への役務提供者とみなすことにより、付加価値税の納税義務者とする制度(以下、「プラットフォーム課税」とします。)の導入がなされています。これを受けて、わが国においても、令和6年度税制改正大綱により、プラットフォーム課税が創設されることになります。

 具体的に見れば、①(適用規模)課税期間において、50億円を超える対象となるべき電子商取引を行うプラットフォーム事業者について、②(適用時期)令和7年4月1日以後に行われる電子商取引から適用されることになります。

 
 
クリスマスに200万円の時計をもらったら?

  新年あけましておめでとうございます。

 昨年のクリスマスに、恋人やパートナーから高価なプレゼントをもらえた幸せな人も多いことと思います。今回は、このようなプレゼントに税金はかからないのか?について考えてみたいと思います。

 一般的に、個人からのプレゼントには「贈与税」という税金が関係してきます(注1)

 「えっ、税金がとられるの??」とびっくりする人もいるかもしれませんが、ほとんどの場合、プレゼントをする側とされる側の関係性に照らし、常識の金額の範囲内のプレゼントである場合、贈与税は非課税(注2)とされているため、心配は要りません。

 お年玉、入学祝、結婚祝いなども、この考え方から、通常は課税されません。

 「じゃ、いくらまでが非課税なの?」との質問をよく受けるのですが、正解はありません。なぜなら、例えばプレゼントを例にして、(A)プロポーズが成功した後に、名入れした200万円の時計をプレゼントする、(B)親が子供に、相続対策のために200万円の時計をプレゼントする、とでは同じ金額でも意味が異なり、前者は非課税であるが、後者は贈与税が課税されるでしょう。なぜ非課税の規定があるのかを考えてみれば、わかりそうな話ですよね。

 (注1)贈与契約とは、当事者の一方が他方に対して、無償で財産を与える契約をいいます(民法549条)。(注2) 贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しない。相基通21-3の9。