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税理士法人 成和新着情報

【国際税務教室】 外国資本により新設される法人の消費税の納税義務

 外国法人が日本に子会社を設立するといったケースも見受けられます。その場合、新設された日本法人の消費税の納税義務に注意が必要です。

 消費税法上、新設法人は基準期間がないことから、資本金が1,000万円未満の場合、原則として消費税の納税義務が免除されます(以下、「事業者免税点制度」とします)(※1)。親会社の外国法人はある程度の規模であったとしても、新規に設立される子会社の資本金は1,000万円未満というケースも見られます。そのような場合、事業者免税点制度は適用されるのでしょうか。

 消費税法上、新設法人の資本金の額が1,000万円未満であっても、①発行済み株式の50%超を他の者に保有されているなどの場合において、②当該他の者及び当該他の者と一定の特殊な関係にある法人(以下、「他の者等」とします)のうち、いずれかの者の課税売上高(※2)が5億円を超える場合には、事業者免税点制度の適用はできないといった特例(※3)が設けられています。この場合の他の者等は居住者や内国法人に限定されていないことから、外国法人も該当します。したがって、外国の親会社をはじめグループ内の法人の課税売上高が5億円を超える場合、新規設立法人は事業者免税点制度の適用を受けられません。このように、外国法人により新規に設立される日本子会社の消費税の納税義務を判断する場合には、グループ内の法人について、日本国内における課税売上高の確認が必要です。電気通信利用役務の提供など、日本に拠点がなくとも課税売上高が発生している場合もあることから注意が必要です。(※1)消法9条1項 (※2)新設法人のその事業年度の基準期間に相当する期間の課税売上高 (※3)消法12の3条1項

 
 
「インボイスの登録通知書」を紛失してしまったら・・・

  令和5年10月よりインボイス制度が開始されますが、法人や事業者の方は登録を済まされたでしょうか?(令和5年10月1日より登録を受けようとする場合、当初は令和5年3月31日までに登録申請書を提出する必要がありましたが、現在は緩和され、令和5年9月30日までの提出でよいとされております)

 この申請書を提出すると、登録通知書が送付され番号を通知されます。制度開始に向け適格請求書等の準備に通知書に記載された番号が必要になるだけでなく、取引先にも番号を伝える必要がある場合にも番号が必要になるため、この書類は大変重要なものになります。

 これをもし紛失してしまったら、どうすればよいのでしょうか?

 法人の場合には、国税局法人番号検索サイトに事業者情報を入力して調べられます。

 しかし、個人の場合には簡単ではありません(個人情報保護の観点から、国税局法人番号検索サイトからは、番号からの検索しかできないからです)

 個人の場合には、全国に12ヶ所ある国税局インボイス登録センターに電話で問い合わせることで、口頭で番号を教えてもらうことができます。

 通知書の再発行は原則行われていないのですが、取引先から通知書のコピーの提示を求められることもありますので、その場合、再交付申請書に身分証明書を添えて再申請が必要になります。

 個人の場合は、いずれの場合も手続きが面倒なので紛失には注意したいですね。

 
 
【国際税務教室】 海外赴任から帰任した者に対する給与

  所得税法上、非居住者とされる海外赴任者が、海外赴任を終え日本に帰任した場合おいて、帰任後、最初に支払われる給与や賞与に係る源泉所得税の取扱いについて、戸惑う場合も少なくありません。理由は、海外赴任により非居住者となった後の最初に支払う給与や賞与について、原則的には日本国内の勤務に対応する期間分(国内源泉所得)と、海外の勤務に対応する期間分(国外源泉所得)に区分して認識し(※)、国内源泉所得のみが課税所得とされることから、帰任の際にも、赴任の際と同様に国内源泉所得と国外源泉所得に区分し、国内源泉所得のみが課税所得とされるように感じるところにあります。

 結論からみれば、帰任後に支払われる給与や賞与については、国内源泉所得と国外源泉所得の区分なくその全額が課税所得となることから、当該給与等を国内源泉所得と国外源泉所得に区分して認識する必要はありません。

 所得税法上、非居住者の納税義務の範囲は国内源泉所得のみとされていることから、海外赴任により非居住者となった後の最初の給与や賞与については、国内源泉所得と国外源泉所得を区分して認識し、国内源泉所得のみが課税所得となります。他方、居住者(永住者)の納税義務の範囲は全世界所得とされていることから、海外赴任を終え帰任することにより居住者となった後に支払われる給与及び賞与は、国内源泉所得のみではなく国外源泉所得も加えたすべての給与等が課税所得となります。

(※)一定の条件を満たす場合には、その全額を国外源泉所得とする特例措置があります(所得税基本通達212-5)

 
 
不動産所得の事業的規模について(50台基準)

 不動産所得の計算において、いわゆる5棟10室基準(※1)を満たす貸付を行っている場合には事業的規模で行われているものとして、青色申告の場合65万円控除が認められるほか事業的規模以外で行われている場合と比べ種々の優遇規定が設けられております(※2)

 この5棟10室基準は通達の規定であるため、あくまでも目安であり、それが絶対というものではありません(この基準を下回っていても事業的規模とされた例として昭和52年1月27日裁決がある。反対、平成16年9月27日裁決ほか)が、これに固執する税理士や税務職員もいるのは事実です。

 ところで、通達には明記されておりませんが、50台基準というのをご存じでしょうか?

 これは、貸駐車場の基準で「1室の貸付けに相当する土地の貸付件数を『おおむね5』として判定する」というものであり、例えば、貸室8室と貸地10件がある場合に貸室の数のみで事業的規模であるか否かを判定するのは誤りであり、「貸地10件は貸室2室に相当する」ことから、この場合は10室で事業的規模に該当するとされております(※3)(※4)

 これも通達と同様に法律ではないため、拘束されるものではありませんが、特に反証がない限り、これを満たす場合には事業的規模としても問題ないと考えられます。(※1)所基通26-9(※2)所法51①②ほか(※3)東京国税局課税第一部個人課税課、課税第二部消費税課の所得税消費税誤りやすい事例集(令和4年12月)(※4)ここでいう貸駐車場とは、貸室の利用者用以外の者が利用する、他の場所にある駐車場が予定されていると考えられます。

 
 
【国際税務教室】 同性婚と所得税法、相続税法上の配偶者

  所得税法、相続税法上の配偶者は法律上の婚姻関係にある者と解されます。同性婚について、わが国では憲法(第24条「両性の合意」)の解釈上、認められないとされていますが、社会において多様性が尊重されていくなかで、法律により同性婚を認める国もみられるところです。同性婚を認める国において婚姻を挙行した場合などは、どのように扱われるのでしょうか。

 一般的に、国際的な要素を含む法律関係は、国際私法により適用すべき法律(準拠法)が決定されます。わが国においては、「法の適用に関する通則法」(以下、「通則法」とします)が国際私法として準拠法に関する一般的規定をおいています。通則法においては、「外国法によるべき場合において、その規定の適用が公の秩序又は善良の風俗に反するときは、これを適用しない」と規定しています(通則法42条)。すなわち、公序違反を理由に外国法を適用しないこととする規定であります。これにより、同性婚が外国法に基づいて有効に成立したものであっても、当該外国法の適用が排斥されるとする考え方もある一方で、欧米諸国の各国の同性婚の立法化を背景に、一概に公序違反とするべきではないという考え方もあり、立法論的な検討が必要といった指摘がなされています(※1)。また、同性婚の是非についての議論は憲法や民法を中心としたものが多いなか、新しい家族のあり方を租税法の観点からも議論することが必要といった指摘もなされています(※2)(※1)肥後治樹「租税法における『配偶者』について」筑波ロー・ジャーナル6号(2009年)180頁、187頁。(※2)加優友佳 「第1章 家族のあり方と租税」 金子宏(監)中里実=米田隆=岡村忠生(編)『現代租税法講座 第2巻 家族・社会』(日本評論社2017年)35頁。