外国法人が日本に子会社を設立するといったケースも見受けられます。その場合、新設された日本法人の消費税の納税義務に注意が必要です。
消費税法上、新設法人は基準期間がないことから、資本金が1,000万円未満の場合、原則として消費税の納税義務が免除されます(以下、「事業者免税点制度」とします)(※1)。親会社の外国法人はある程度の規模であったとしても、新規に設立される子会社の資本金は1,000万円未満というケースも見られます。そのような場合、事業者免税点制度は適用されるのでしょうか。
消費税法上、新設法人の資本金の額が1,000万円未満であっても、①発行済み株式の50%超を他の者に保有されているなどの場合において、②当該他の者及び当該他の者と一定の特殊な関係にある法人(以下、「他の者等」とします)のうち、いずれかの者の課税売上高(※2)が5億円を超える場合には、事業者免税点制度の適用はできないといった特例(※3)が設けられています。この場合の他の者等は居住者や内国法人に限定されていないことから、外国法人も該当します。したがって、外国の親会社をはじめグループ内の法人の課税売上高が5億円を超える場合、新規設立法人は事業者免税点制度の適用を受けられません。このように、外国法人により新規に設立される日本子会社の消費税の納税義務を判断する場合には、グループ内の法人について、日本国内における課税売上高の確認が必要です。電気通信利用役務の提供など、日本に拠点がなくとも課税売上高が発生している場合もあることから注意が必要です。(※1)消法9条1項 (※2)新設法人のその事業年度の基準期間に相当する期間の課税売上高 (※3)消法12の3条1項