相対的に税率が低い国に設立した子会社に多くの所得を留保することによる租税回避を防止する目的の制度が、外国子会社合算税制(いわゆる タックスヘイブン対策税制―CFC税制)です。原則的には外国子会社の税負担が、「トリガー税率」と呼ばれる一定の税率より低い場合に、外国子会社の所得を日本の親会社の所得とみなして合算して課税を行うものです。
現行の制度は、①ペーパーカンパニー、②事実上のキャッシュボックス、③ブラックボックス国に所在 (①②③は特定外国関係会社とされますが、以下は「ペーパーカンパニー等」とします)のいずれかに該当する場合において、税負担がトリガー税率とされる30%未満の場合には、全ての所得を合算課税対象としています。
与党が提出をした「令和5年度税制改正大綱」では、ペーパーカンパニー等に関するトリガー税率の引き下げを行うとしています。具体的に見れば、現行の30%から27%へ引下げが行われます(※)。これにより、現在、外国子会社合算税制の対象となっているペーパーカンパニー等において、トリガー税率の引き下げにより合算課税の適用が免除されるケースも出てくるものと認識されます。
なお、現行制度においては、ペーパーカンパニー等以外の企業には20%未満の税率による「制度適用免除基準」が適用されておりますが、こちらのトリガー税率についての改正はありません(現行のママ20%未満となります)。
(※)2024年(令和6年)4月1日以後に開始する内国法人の事業年度から適用