政府により公表された「平成24年度税制改正大綱」(※1)によると、国外財産に係る申告漏れの増大等、国際的租税回避が問題視されている現状に鑑み、一定額の国外財産を所有する個人に対して、当該国外財産の詳細を記載した調書の提出を義務付けする制度(以下、「国外財産調書制度」とします)の創設が盛り込まれています。
制度の具体的内容は、その年の12月31日において5千万円を超える国外財産を所有する(日本)居住者に対して、国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書(以下、「国外財産調書」とします)の所轄税務署への提出を義務付けするものです。
また、国外財産に係る所得税および相続税について申告漏れ等が発生した場合、提出された国外財産調書に当該申告漏れとなった財産の記載がある場合には、申告漏れ等に対して課される加算税が5%減額されるのに対して、国外財産調書に記載がない場合には、逆に5%加算されることになります。さらに、国外財産調書の不提出・虚偽記載に対する罰則として1年以下の懲役または50万円以下の罰金が設けられています。
全般的に小幅な内容ともいわれる「平成24年度税制改正大綱」でありますが、当該大綱は通常国会に法案として提出され、審議を経た後に可決・成立し施行されます。「国外財産調書制度」も踏まえて、国際税務関係に関する改正内容にも留意が必要です。
(※1) 「平成24年度税制改正大綱」 平成23年12月10日 公表