法人が支出した交際費等は租税特別措置法により原則、損金不算入とされています。
他方で、中小法人については、大法人と比べて販売促進手段が限られており、交際費は中小法人の事業活動に不可欠な経費であるとして、中小法人(資本金1億以下)については一定の金額以下については、損金算入が認められています。(Ⅰ,Ⅱ)
また、飲食のための支出は、消費の拡大を通じた経済の活性化を図ることが可能として平成26年度税制改正大綱では、これまで交際費の損金算入が認められていなかった大法人も、交際費のうち飲食費の半分までは損金算入が認められることになりました。(Ⅲ)
交際費課税に関しては緩和の方向に進んでいましたが、ここに来て一気に開放されたような感じです。
Ⅰ 事業年度開始日が平成25年3月31日以前の場合
中小法人の場合(原則として、資本金1億円以下の会社が該当)
600万円までは90%が損金算入。
600万円を超える部分の金額は損金不算入。
大法人(資本金1億円超の会社等)
交際費は全額損金不算入。
Ⅱ 平成25年度税制改正
事業年度開始日が平成25年4月1日以降の場合
中小法人の場合(原則として、資本金1億円以下の会社が該当)
800万円までは全額が損金算入。
800万円を超える部分の金額は損金不算入。
大法人(資本金1億円超の会社等)
交際費は全額損金不算入。
中小法人の場合(原則として、資本金1億円以下の会社が該当)の減税効果?
1年間の交際費の金額700万円だったとしますと
『改正前』
(a)600万円を超える交際費
700万円―600万円=100万円
(b)600万円までの交際費
600万円×10%=60万円
(a)+(b)=160 万円
平成25年改正前は700万円の交際費のうち、160万円が損金として認められませんでした。法人税率の実効税率が35%とすると160万円×35%=56万円多くの税金を納める必要がありました。
『改正後』
(a)800万円を超える交際費
700万円 < 800万円 ∴0
(b)800万円までの交際費
700万円は全額損金計上可能なので損金として認められない額は0になる。
(a)+(b)=0
平成25年度の改正により、700万円の交際費は、800万以下のため全額損金として認められることになりました。
改正前と改正後では、56万円の税額の差が生じています。交際費をそれなりに使っていた中小企業にとってかなり大きな減税効果があります。
Ⅲ 平成26年度税制改正で大きく変わる
平成25年12月24日の閣議で平成26年度税制改正大綱が決定されました。
まだ、法制化はされていませんが、毎年税制改正大綱の内容でほぼ決定されています。
中小法人の場合(原則として、資本金1億円以下の会社が該当)
下記①か②の有利な方の選択適用が可能
① 800万円を超える金額は損金不算入(上記Ⅱと同じ、現行措置、2年間延長)
② 飲食のために支出する費用の50%を損金算入、飲食費以外の交際費等(得意先への慶弔費など)は損金不算入(新設、2年間の措置)
※飲食のために支出には、専らその法人の役員、従業員等に対する接待等のために支出する費用(いわゆる社内接待費)を含まない。
飲食費だけで1,600万円超ある場合は②のほうが有利になります。
大法人(資本金1億円超の会社等)
飲食のために支出する費用の50%を損金算入。飲食費以外の交際費等(得意先への慶弔費など)は損金不算入。(上記②と同じ、新設、2年間の措置)
飲食費に含まれる費用については、現行の5000円基準(※1)における飲食費の範囲と基本的には同様になるようです。
(※1)平成18年税制改正で設けられた基準になります。
交際費のうち飲食費については1人当たり5000円以下であれば、一定の条件のもと交際費から除いてよい。 この基準は交際費課税改正に関係なく残っています。引き続き適用を受けられるようにしておくよいでしょう。