国税庁から制度の初年度となる平成25年分の国外財産調書の提出状況が公表されました。昨年分からスタートした国外財産調書制度とは、その年の12月31日において5千万円(※1)を超える国外財産(※2)を有する者(※3)について、その財産の種類、数量および価額等を記載した調書の所轄税務署への提出(提出期限 翌年3月15日)を義務づけるものであります。
国税庁の資料によれば、全国の調書総提出件数は5,539件となっており、国外財産の総合計額は約2兆5千億円。財産の種別ランキングをみると、①有価証券(62.1%)、②預貯金(15.0%)、③建物(7.4%)、④土地(3.3%)、⑤貸付金(2.8%)の順となっております。
国外財産調書制度は納税者自らが提出する制度であることから、適正な提出の確保のために正当な理由がなく未提出の場合または虚偽記載に対しては「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が適用される(※4)こととされており留意が必要です。
近年、個人における国外財産の保有が増加傾向にある中、国税当局としても国外財産への課税の適正化は喫緊の課題とされています。国外財産を5,000万円程度保有している場合には、国外財産調書制度を正確に理解し、適正な国外財産調書の提出が必要といえます。
(※1)その年の12月31日の時価とされ、円換算は同日の売買相場によることになります。(※2)その財産が「国外にある」かどうかの判定については財産の種類ごと行うことになります。(※2)所得税法上の居住者(非永住者を除く)に限られます。(※4)平成27年1月1日以後に提出すべき調書から適用されます。