経済の国際化により「ヒト・モノ・カネ + チエ」が国境を越えて飛び交う中、課税庁が適正な課税を行うためには、国際的に情報を入手する必要があります。そのため、各国間にて締結される租税条約では、両国間において情報交換を行うといった規定が盛り込まれております。この度、国税庁よりH22年度(H22/4~H23/3)の外国税務当局との情報交換の実績が公表されました(※1)。
租税条約による情報交換は、① 調査等のために個別の納税者に対する情報を求める「要請に基づく情報交換」、② 要請はなくとも、相手国にとって有益な情報と推測される情報を能動的に提供する「自発的情報交換」、③ 利子や配当等の支払に関する情報が定期的に条約相手国に送付される「自動的情報交換」の三つに分類されます。
公表によると、①により相手国に求めた件数は646件と前年の2倍に膨らんでおり、③により相手国に提供された情報は約16万6千件、相手国から提供された情報は12万3千件とされています。
海外取引や資産に関する調査等は年々増加しており、それにはこの情報交換が積極的に活用されています。個人の所得税申告、相続税申告等では日本国外の所得、資産について見落としがちになることも予想されます。世界が租税条約ネットワークで覆われている現状では、それら条約による情報交換を理解し網羅的な申告ができるよう留意する必要があります。
(※1) 「平成22年度における租税条約に基づく情報交換実績の概要」 平成23年11月 国税庁 公表