H22年度の税制改正で、子供手当の支給、高校授業料の実質無償化により扶養控除の見直しが既報のとおり行われました。
整理してみると、
①扶養控除の対象者の見直し
年齢16歳未満の年少扶養親族の扶養控除は廃止され、
扶養控除の対象は、年齢16歳以上の扶養親族となりました。
②特定扶養親族の対象者の見直し
年齢16歳以上19歳未満の人の特定扶養親族としての
上乗せ部分(25万円)が廃止され
特定扶養親族は、年齢19歳以上23歳未満のみになりました。
★H23年分以後の所得税から適用されます。
■H23年分給与所得の扶養控除等(異動)申告書
上記の改正を踏まえたH23年度の給与所得者の扶養控除等申告書が国税庁のホームページに掲載されました。(H22年9月)
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/h23_01.pdf
★作成時の注意点
(1) 年少扶養親族の扶養控除廃止について
①「控除対象扶養親族」
⇒16歳以上、平8.1.1以前生となっています。
②「特定扶養親族」
⇒昭64.1.2生~平5.1.1生となっています。
H22年分の所得税については、子供手当の支給を受けても従前のとおり控除が適用されます。
また、子供手当の支給額は非課税とされているので、所得税負担は増加しません。したがって、H22年の扶養控除申告書の控除対象扶養親族は16歳以上となっています。
(2) 「住民税に関する事項」が追加されました。
平成24年度住民税も年少扶養控除廃止となり住民税も増額します。
住民税についても所得税と同様に扶養控除の範囲の見直しがされましたが、適用は24年からとされました。
したがって、H23年は年少扶養親族控除が適用され、所得税と異なることから、扶養控除等申告書に住民税欄が設けられています。
■源泉徴収される所得税額(給与所得)
具体的にH22年とH23年を比較すると、毎月の給与から控除される所得税が増額となります。
「源泉徴収税額表」は給与の額と扶養親族等の数で毎月の給与から控除する所得税(源泉税)を計算します。そのため、平成23年1月分の源泉税の算出時には、改正により扶養親族の数が減り源泉される所得税額の増える人がたくさん出ることになります。
≪例≫平成22年度版源泉徴収税額表で試算
月給45万円(社会保険は6万円で計算)、
子供2人(16歳未満)、配偶者は所得無しの人
平成22年度⇒扶養人数3人(子供2人、配偶者)
源泉所得税 7,040円/月
平成23年度⇒扶養人数1人(配偶者)
源泉所得税 12,280/月
このため、給与分の源泉所得税は5,240円/月の増加となります。
★いずれにしても、16歳未満の子供は扶養親族ではありますが、所得税法上の扶養親族ではないと、頭を切り替えないといけません。
なお、「子ども手当」「高校授業料の無償化」導入が家計に与える影響は子供の数、年収等によりかなりの差が出てきます。