国会の行方が気になるところですが、改正税制法案が通過すれば、平成23年4月1日より取得した減価償却資産から、定率法の減価償却率が変更となります。
適用対象:法人及び個人 (定率法を選択している場合)
■何が変更になったのか?
減価償却方法には、一般的に次の二つがあります。
①毎年均等額を費用計上する「定額法」
②毎期首の未償却残高に一定率を乗じた額を費用計上する「定率法」
①毎年均等額を費用計上する「定額法」
②毎期首の未償却残高に一定率を乗じた額を費用計上する「定率法」
この内、改正があるのは、②定率法です。
定率法は、既に平成19年の改正で、定額法の250%の償却率で償却を行う250%定率法を導入しています。
今回の改正では、平成23年4月1日以降に取得する減価償却資産について、定率法を選定する場合は、定額法の200%の償却率に変更となります。250%定率法と比較すると減価償却額の変化が小さくなります。
■3種類の償却方法の資産を持つことになる?
今回の改正により、定率法を選択している減価償却資産は、次の3種類の償却方法に分かれることになります。
取得時期 | 定率法の償却 | 備 考 | |
① | 平成19年3月31日以前 | 旧定率法 | |
② | 平成19年4月1日~ 平成23年3月31日 | 250%定率法 | 経過措置あり |
③ | 平成23年4月1日以降 | 200%定率法 | 経過措置あり |
実務上は上記②、③を区分して異なる償却計算を行う場合には事務負担が増加します。
なお、②、③については、下記経過措置があります。
■経過措置
① 経過年度における現行償却方法の継続適用
定率法を採用している法人において、平成23年4月1日前に開始し、かつ、平成23年4月1日以後に終了する事業年度に取得した減価償却資産は、現行償却率による定率法(250%定率法)により償却することができます。
② 従来取得資産に対する200%償却法の選択適用
現行の償却率(250%)を採用している減価償却資産について、改正後の償却率(200%)を用いて償却することができます。この時、当初の耐用年数で償却を終了するように改定償却率及び保証率も見直されます(ただし、平成23年4月1日以後最初に終了する事業年度の申告期限までに届出が必要)。