肉用牛売却所得の課税特例措置(※)とは、肉用牛生産農家が経営体質を強化し、国産牛肉の安定的な供給を図っていく観点から措置されている制度です。
具体的には、一定の肉用牛を売却したときに売却証明書が発行され、その証明書を確定申告の際に提出することにより、1頭あたり100万円(交雑種80万円、乳用種50万円) 未満であれば、年間の売却頭数が1,500頭まで、所得税や住民税が免除されるというものです。
例えば農業所得100万円のうち、そのすべてが免税の特例を受けられる場合、免税所得が100万円となるため、所得金額は100万円-100万円=0円となります。
この制度の適用を受けた場合、通常の所得金額から免税分を控除した金額が確定申告書に記載されるため「雑損控除や医療費控除などの控除額の計算の基礎となる総所得金額は免税金額を控除した金額で判断するのか?」のような質問をよく受けますが、答えはNOです。
これら判断をするときは、免税金額控除後の所得金額ではなく、通常(控除前)の所得金額で判断されるからです。国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の算定の基礎のなる所得金額も同様に、通常の所得金額で計算されます。
しかし国民年金保険料の減免申請をする場合には、所得金額からこの免税所得を控除した金額で判断することとされている(国民年金法施行令第6条の12第2項第3号)ため、この制度を受けている農家さんの中には国民年金保険料の減免を受けられる人もいるかもしれませんね。
※租税特別措置法25条