外国子会社合算税制(いわゆる タックスヘイブン対策税制)では、ペーパーカンパニーではなく実際に経済活動を行っている海外子会社(以下、「経済活動基準を満たす子会社」とします)においても、租税負担割合が20%未満の場合には、受動的所得に対する部分合算課税が適用されます。
受動的所得とは、配当や利子、有価証券の譲渡、有形固定資産の貸付、無形資産の使用料や譲渡など、11の項目とされています(※1)。当該11項目の中には、異常所得と呼ばれている所得が含まれています。異常所得とは、当該事業年度の所得の金額から、異常所得以外のすべての受動的所得を控除した残額から、一定の金額(※2)を控除した金額とされます。
外国子会社合算税制においては、受動的所得が2,000万円以下の場合には合算が免除されます。したがって、税負担が20%未満となる国に、経済活動基準を満たす子会社が所在しているケースにおいて、配当や利子などの受動的所得が2,000万円以下となっている場合には、合算が免除されることから、実務上、外国子会社合算税制の適用について、気に留めない場合も少なくありません。しかし、当該海外子会社が保有する不動産等を譲渡するなどして、多額の譲渡益を計上するなどした事業年度においては、異常所得について検討を行う必要があります。すなわち、多額の固定資産譲渡益などが計上されることにより、異常所得の金額が2,000万円を超える場合、当該異常所得はその他の受動的所得と合わせて、部分合算課税の対象とされることから注意が必要です。(※1)措法66条の6第6項。(※2)総資産の額として政令で定める金額に人件費その他の政令で定める費用の額を加算した金額に百分の五十を乗じて計算した金額。