金融庁は2月17日、エヌエヌ生命保険(本拠地:オランダ)に対し保険業法に基づく業務改善命令を下したことは記憶に新しいでしょう。
今回問題とされたのは「名義変更プラン」と呼ばれるもので、これは、多額の死亡保険金を受け取れる保険契約を当初法人名義で締結し高額な保険料を支払ったのちに、名義を経営者個人に変更したうえで譲渡・解約をすることで支払った保険料の大部分を経営者個人が所得税の計算上有利(通常の給与課税に比べ)な一時所得で受け取れる仕組みである。
行き過ぎた節税を前面に出す保険商品の販売が相次ぐ中、2019年2月に国税庁が税務上の取扱いを見直す方針を示したことで、大手生命保険会社は節税商品の販売を停止した。その後に、この「名義変更プラン」が考え出され、一部の保険会社で販売が開始されたが、国税庁も黙ってはおらず、2021年6月に通達改正により実質的にこれを封じた。
それにもかかわらず、変わらずに節税を謳った保険商品を販売していたとして、金融庁はマニュライフ生命、SOMPOひまわり生命、FWD生命、エヌエヌ生命の4社に対し立ち入り検査を実施し、特に悪質性が高いとし昨年7月にマニュライフ生命に業務改善命令が下され、今年2月のエヌエヌ生命は2例目となっている。
以前から、保険を節税目的で販売していることに強く違和感を持っておりましたが、国税庁は法令によりこれを封じ、金融庁は立ち入り調査により処分を下すようになってきている流れのなかで、保険本来の趣旨は何だったのかを再確認するいい機会なのかもしれません。