海外赴任する従業員や、海外赴任を終え帰国した従業員に係る源泉徴収票を作成する場合、どこまでの給与を対象として作成するかについて、迷う場合も少なくありません。
国内において給与の支払をする者(以下、「源泉徴収義務者」とします)には、その年中に支払の確定した給与について、給与所得の源泉徴収票(以下、「源泉徴収票」とします)の作成が義務付けられています(※1)。海外赴任する従業員には、赴任後も日本の親会社等からの給与(以下「日本払い給与」とします)が継続して支払われることが一般的といえます。源泉徴収票の作成に際して、このような日本払い給与も対象とする必要があるのでしょうか。
源泉徴収票の作成は、居住者に対し日本国内において給与の支払をする場合に限定して義務付けされており(※1)、非居住者に対し支払う給与については義務付けされていません(※2)。
したがって、海外赴任者が非居住者に該当する場合、日本払い給与は源泉徴収票の作成の対象となりません。このことから、海外赴任により非居住者とされる従業員の源泉徴収の作成についてみれば、海外赴任をする年においては、年初から非居住者となる時(出国の時)までに支給期の到来する給与について源泉徴収票を作成し、海外赴任を終え帰国する年には、居住者となった時(帰国の時)から年末までに支給期の到来する給与について源泉徴収票を作成します。
(※1)所法226条1項 (※2)源泉徴収票の作成義務はないものの、非居住者に対して国内源泉所得に該当する給与等の支払が50万円を超える場合には、「非居住者等に支払われる給与、報酬、年金及び賞金の支払調書」を作成し、税務署に提出する必要があります(所法225条1項8号)。