先日、令和6年度税制改正大綱が発表されましたが、今回の税制改正では証券税制関連で大きな改正はありませんでした。しかし、令和5年分(令和6年3月15日申告期日)の確定申告から、増税となる改正が行われたことを忘れている投資家も多いのではないでしょうか。
その改正とは、配当を受け取った場合において「所得税と住民税の課税方法を一致させなければならない」というものです。
令和4年分までは、配当について所得税と住民税について異なる課税方法を選択することができ、所得金額が900万円以下である場合、所得税は総合課税を、住民税は申告不要を選択することで、税負担を軽減することができました。
しかし、令和5年分より異なる課税方法を選択できなくなったため、所得税で総合課税を選択したのであれば、住民税も総合課税を選択しなければならず、申告不要で逃げることはできなくなります。
そうであれば、最初から申告不要とすればよいのでしょうか?いえ、結論を言えば所得金額が695万円以下であれば、総合課税を、695万円を超えたら申告不要(もしくは申告分離課税)を選択することで、税負担を軽減させることができます。
一方で、総合課税を選択した場合、住民税も所得金額が増えることになるため、国民健康保険や後期高齢者医療保険、介護保険の保険料が増加することもあるため、配当を受け取った場合の確定申告は、課税方法の選択を慎重に行ったほうがいいでしょう。