2023年より、三菱UFJ銀行が残価設定型住宅ローン(※1)の取り扱いを開始し「住宅ローンに残価設定?」と驚かれた人も多かったことと思われます。
今回は、事業用資産の導入に際し、最近では残価設定ローンや残価設定リースを利用する事例が多く見られますが、その場合の「減価償却」の計算に焦点を当ててみます。
例えば300万円の車を5年ローンで購入する場合で、5年後の残価(買取補償額)が120万円とすると、毎月の支払額は(300万円-120万円)÷60回=3万円となります。ここで問題になるのは減価償却にあたり残価部分が対象になるかどうかです。結論から書くと、残価を差し引いた180万円ではなく、300万円をベースに減価償却を計算することになります。これは残価設定月にローン目的物を買い取ることが原則と考えられるからです。
一方で、よく似たもので残価設定リースというものもあります。例えば300万円の車を5年リースにより取得する場合で、5年後の残価が120万円とすると、毎月の支払額は(300万円-120万円)÷60回=3万円となります。ここまではローンの場合と同じですが、減価償却の計算はローンの場合と異なり、残価を差し引いた180万円をベースに減価償却を計算することになります(法令48の21六)。これはローンの場合と異なり、リース期間終了後はリース会社にリース目的物を返却することが原則と考えられるからです。
(※1)三菱UFJ銀行の残価設定型住宅ローンでは、残価設定月以降、リバースモーゲージ型住宅ローンに移行し、死亡時には物件を処分・一括返済する仕組みになっています。