居住者(非永住者を除く)の中で、その年の12月31日において5,000万円を超える国外財産を有する者は、国外財産調書を住所地の所轄税務署に提出する義務があります。令和4年度の税制改正により、令和5年分以降の国外財産調書の提出期限が、それまでの翌年3月15日から6月30日に変更されました。したがって、変更後初めてとなる令和5年分の国外財産調書の提出期限は、今年(令和6年)の7月1日(月)となります。
実務上、提出に際して、国外財産の邦貨への換算について迷う場合が少なくありません。それらについて見れば、以下の通りです。
提出期限の変更は行われましたが、外国通貨で表示される国外財産の邦貨への換算についての変更はありません。すなわち、替換算において適用する相場は、提出期限の後倒しと関係なく、調書を提出する者の取引金融機関が公表するその年の12月31日における最終の「対顧客直物電信買相場(TTB)」(その年の12月31日に当該相場が無い場合には、当該相場のうち同日前の最も近い日の相場)を適用して換算することになります(※)。
円安が継続する現状においては、国外財産の外貨建て価額に増減が無い場合においても、為替相場によっては、邦貨建ての金額が5,000万円を超過する場合も想定されます。当該制度では、調書の未提出には罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)もあることから、為替相場も踏まえた上にて、調書の提出義務についての確認が必要です。
(※)国外送金等調書法施行令10条5項 法令解釈通達5-14