グローバル化を背景に外国法人と契約書を締結する機会も増加傾向にあります。特に、海外子会社との間に多くの契約書を交すケースが多くみられます。実務的には外国法人との契約締結に際して、印紙の貼付が必要とされるか否かについて、疑問が生じる場合も少なくありません。
印紙税の納税義務者は「課税文書」の作成者とされ(※1)、印紙を貼り付ける方法による納税が必要となります。しかし、「課税文書」の作成場所が日本国外(法施行地外)の場合には、当該文書に基づく権利行使や当該文書の保存が日本国内(法施行地内)で行われるものであっても、印紙税法は「適用されない」とされます(※2)。
すなわち、外国法人との契約に印紙の貼付が必要とされるか否かについては、契約文書の作成者や権利行使地、当該文書の保存場所で判断されるものではなく、当該文書の作成場所にて判断されます。したがって、外国法人と締結する契約書が日本国内で作成されている場合には貼付が必要となり、日本国外で作成されている場合には貼付の必要はありません。この場合の文書の作成地とは契約当事者の意志の合致が成立した場所とされ(※3)、通常は当該契約書に当事者の押印もしくはサインがそろった場所といえます。印紙の納税義務を明確にするために、契約書に文書作成地(=意志合致の地)を明確に記載することも有用といえます(※4)。
(※1) 印紙税法第3条第1項 (※2)印紙税法基本通達第49条
(※3)印紙税法基本通達第44条第2項
(※4)契約書に作成地を記載した場合でも、実際に契約書の作成が日本国内である場合には納税義務が存在します。