農家が集まり、機械設備の共同利用や農作業受委託等行う「集落営農組織」(注1)から、「農業法人」へと組織変更する事例が最近多く見受けられます。
(注1)集落営農組織は、その規約に定めた運営形態によって、
税法上「任意組合」又は「人格のない社団等」に該当する
ことになり、課税の取扱いが異なります。
■法人化を促す背景
平成11年に制定された「食料・農業・農村基本法」で、「家族経営の活性化を図るとともに、農業経営の法人化を推進するために必要な施策を講じる」と家族経営と並んで法人が農業経営の一翼として位置づけられました。
平成15年の改正農業経営基盤強化促進法において、集落営農のうち経営主体として実態を有するものを「特定農業団体」とし、新たな担い手として位置づけました。この「特定農業団体」は、認定を受けてから原則5年以内に法人化することを要件にしています。
平成21年度税制改正により、農地に係る相続税納税猶予制度が見直され、市街化区域外の農業経営基盤強化促進法に基づいて貸し付けられた農地(=利用権設定農地)が納税猶予対象となりました。そして、市街化区域外で既に相続税納税猶予の適用となっていた農地に利用権設定をした場合も納税猶予の適用が継続されることになりました。
■農事組合法人の設立
農業法人の組織形態は、農業協同組合法を設立根拠とする「農事組合法人」と、会社法を設立根拠とする株式会社等があります。
ここでは、農事組合法人の概要について説明します。
1.組織形態の特徴
農事組合法人は農業の協業により共同の利益増進を目的とする組織です。このため、構成員の公平性が重視されており以下の特徴があります。
①議決権が1人1票制
②常時従事者の外部雇用は、常時従事者総数の2/3に制限
③1人の者の出資が100分の50以下に制限
④構成員が3人以上必要
2.事業による分類
農事組合法人は、組合員の共同の利益を図ることを目的に次の事業を行うことができます。
① 共同利用施設の設置、農作業の共同化に関する事業
(1号事業)
(1号事業)
② 農業の経営(2号事業)
③ ①②に付随する事業
3.税制上の特徴
協同組合等として取扱われる農事組合法人が支出する従事分量配当、利用分量配当は法人税法上の損金になります(注2)。
(注2)2号事業を行う農事組合法人で事業に従事する組合員に対し
確定給与を支給する場合は、普通法人と同様の取扱いとなり、
それ以外の農事組合法人は協同組合等として取扱われます。
確定給与を支給する場合は、普通法人と同様の取扱いとなり、
それ以外の農事組合法人は協同組合等として取扱われます。
■法人設立の際に問題となる点
①設立法人の出資金の確保
出資のルールの検討が必要です。
②営農組織で取得した機械装置等(特に補助事業で取得したもの)
補助金で導入した財産は、承認を得れば法人に引き継ぐことが
できます。
できます。
③営農組織の残余財産の処理