このほど、国税庁より「移転価格に関する取組状況確認のためのチェックシート」(以下、「チェックシート」とします)が公表されました。それによると、このチェックシートは企業の移転価格への適正な対応をサポートするためのツールとして用意されたものとされます。
移転価格とは親会社と海外子会社等の関連会社間の取引価格を指し、恣意的な移転価格の設定による関連会社間での過度な所得の移転を防止するために、移転価格税制が導入されていることは周知の通りであります。
チェックシートは、多くの失敗事例をもとに移転価格問題の発生原因が7つの項目に整理され、質問に回答を行う形式により、自社の移転価格への対応状況と問題点が把握できるような構成となっています。チェックシートを通じて、自社の取り組み水準の低い項目への対策が自発的に実施され、移転価格問題の未然防止につながることが期待されています。
新興国も含めた国際的な動向として、移転価格税制の執行が強化される中、このチェックシートは主として大企業向けに用意されたものとされています。しかし、経済の国際化を受けて、移転価格問題への対応は中小企業においても関心を寄せておくべきものといえます。その意味では、中小企業においてもチェックリストを参考にし、移転価格問題への理解を深めることが有用といえます。