海外子会社に対して、親会社が経営や財務・人事労務等の支援を行っている場合、海外子会社にこれら支援活動の対価を請求するか否かについて、迷う場合も少なくありません。
親会社のこのような活動は「企業グループ内役務提供」と呼ばれており、親会社の活動が海外子会社にとって「経済的又は商業的価値を有する」場合(※1)には、移転価格税制上「独立企業間価格」(※2)での取引が求められます。
親会社の当該活動が海外子会社にて重複して行われている場合や、親会社の活動が株主としての自らの活動の範囲にとどまるものであれば問題が生じる事はありません(※3)。一方、親会社の活動が海外子会社の日々の経営に関する支援等である場合には「経済的又は商業的に価値を有する」活動として、移転価格税制上「独立企業間価格」での取引が必要とされます(※4)。この場合の「独立企業間価格」とは、親会社の当該役務提供にかかる総原価とすることができるとされますが(※5)、総原価には直接要した費用のみでなく、一般管理費等の間接費まで含め合理的に計算をする必要がある(※6)ことに注意が必要です。
(※1)移転価格事務運営要領の制定について(事務運営指針)(以下「事務運営指針」とします)2-9 (※2)相互に独立した当事者間の取引において通常設定される価格 (※3) 事務運営指針 2-9(3) (※4)事務運営指針2-9(3)(注)
(※5)役務提供が事務運営指針2-10(注)に記載される「本来の業務に付随した役務提供」でない場合には、別の手法により独立企業間価格を求める必要が生じます。(※6)事務運営指針 2-10(1)