わが国の所得税法上、居住者は原則として国内で生じた所得のみでなく、国外で生じた所得についても所得税が課税されます。通常、国外で生じた所得は外国の通貨にて支払を受けることが多く、所得税の計算を行うに際して、これら外国通貨で支払が行われる取引(以下、「外国建取引」とします)を日本円に換算する必要が生じます。その場合、どのようなタイミングでどのようなレートを用いて円換算するのかについて困惑する場合も少なくありません。
外国建取引の円換算は、原則としてその取引を行ったときの外国為替の売買相場によるものとされています(※1)。具体的には、円換算は外貨建取引の都度行うこととされ、適用するレートは対顧客直物電信売相場(TTSレート)と対顧客直物電信買相場(TTBレート)の仲値(TTMレート)によることとされています(※2)。ただし、外貨建取引が不動産所得、事業所得、山林所得、雑所得にかかるものである場合には、継続的に適用する事を条件として、売上等収入の計算についてはTTBレートを、仕入その他経費等の支出の計算についてはTTSレートを用いて計算することができます(※3)。
なお、これらのレートは各金融機関において若干の違いが生じますが、原則としてその個人の主たる金融機関のレートを採用することとされています(※4)。
(※1)所得税法57条の3 (※2)および(※3)所得税基本通達57の3-2 (※4)所得税基本通達57の3-2(注)1