株式相場の上昇は
自社株(非上場株式)にどのように影響するか?
日本の株価は乱降下を繰り返しながら、上昇傾向を見せ続けています。
株価上昇は、自社株の評価と無関係とは言えません。
今年は、今後株価が上昇傾向を続けるなら、平成24年平均の類似業種株価を使うことができる最後のチャンスです。
Ⅰ自社株の評価方法を把握していますか
上場株式は市場価額が明らかになっていますが、非上場株である自社株は、上場株式のように売り手と買い手の存在するマーケットがないことから、市場価格というものがありません。そのため、自社株の評価方法は様々な方法がありますが、非上場株式の相続、贈与、個人間の譲渡の局面では、相続税法の財産評価通達に基づいて評価します。
Ⅱ非上場会社の株式の評価方法
非上場株式の評価方法は大きく2つあります。非上場株式を取得した株主が、その会社の経営支配力を持つ同族株主の場合は原則的評価方法、単に、配当期待を目的とした少数株主の場合には特例的評価方式により評価します。
非上場株式の原則的評価方法は会社規模により以下の3分類があります。
大会社…類似業種比準方式
中会社…類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式
小会社…純資産価額方式(中会社と同じ併用方式を選択可)
非上場株式の特例的評価方法は、配当還元方式によります。
「類似業種比準方式」
自社株と事業内容が類似する業種の上場株式の株価、配当、利益、純資産に比準させて、1株当たりの価額を算出する評価方式です。業種ごとの株価等は、国税庁からの通達により調べることができます。
※平成25年自社株の評価「類似業種比準方式」に、株価上昇前の平成24年度類似業種の平均株価が選択できます。
「純資産価額方式」
自社の貸借対照表を、評価通達の定めによって課税時期における価額へ評価替えをして、1株当たりの価額を算出する方法です。
株式評価詳細は 中小企業庁 財務サポート
www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/pamphlet/2013/index.htm
中小企業税制33問33答 Q26Q27に掲載
従って、上場株式の上昇の影響を100%受けるのは会社規模が大会社となる会社です。中小会社は「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式」ですが、その場合、会社規模により「類似業種比準方式」で計算された株価を90%、75%、60% 50%の割合で併用していきます。
Ⅲ 実務上の対応
一般的に株式相場の低迷期には類似業種比準価格は低くなり、株式相場の好調期には、類似業種比準価格は高くなります。これは上記に説明しましたように、上場会社の株価が類似業種比準価格の計算要素の一つであるためです。
贈与、個人間の譲渡について今後、株式相場の上昇傾向が継続するならば、今年度は自己株式の移転のチャンスと考えられます。