居住用家屋(マイホーム)を夫婦共有にて購入するケースは多いものです。夫婦の離婚に際して、片方の持分を金融機関等の新たな融資を受け追加取得した場合に住宅借入金等特別控除(以下、住宅ローン控除とします)の適用はどうなるのでしょうか。
この度、国税不服審判所の裁決を受けて、国税庁より居住用家屋の共有持分を追加取得した場合の住宅ローン控除の適用を改めるとの発表がなされました(平成21年2月21日 国税庁HP)。
離婚によって居住用家屋の共有持分を追加取得した場合などは、これまでの取扱いが改められることになり注意が必要です。
住宅ローン控除の適用は、居住用家屋を二つ以上所有する場合、主に居住するひとつの家屋に限定して認められます。この点について、従前の取扱いでは離婚による財産分与により離婚前に夫婦で共有していた居住用家屋の持分の追加取得をした場合、その追加取得をした共有持分はすでに居住している家屋とは切り離された「新たな中古住宅の取得」とされ、居住用家屋を二つ以上所有する場合に該当することを理由として、住宅ローン控除の適用は離婚前から所有している共有持分と追加取得持分のいずれかについてのみしか認められないものとされてきました。
しかし、国税不服審判所の裁決(平成21年2月20日)で居住用家屋の共有持分の追加取得は「新たな別の家屋を有することにはならない」とされたことから、住宅ローン控除の適用は当初保有持分と追加取得持分のいずれにも認められることに改められます(※)。
この取扱の変更は既に確定申告の提出をしている年分についても所轄の税務署に「更正の請求」をすることにより所得税の減額が受けることができますが、「更正の請求」をすることができるのは、この取扱の変更を知った日から2ヶ月以内とされますので注意が必要です。また確定申告をしていない年分については、その年の翌年1月1日から5年間、還付申告をすることにより所得税の減額が受けられます。
(※)共有持分の追加であっても、追加取得時において自己と生計を一にし、その後も引き続き生計を一にする親族等からの取得は、住宅ローン控除の対象とはなりません。
出典:国税庁HPアドレス