国際化に伴い、海外に子会社を複数持つようなグローバル企業も多く見受けられます。そのような場合、海外に設立した現地法人がいわゆる「タックスヘイブン対策税制」(外国子会社合算税制)に該当するか否かについて、迷う場合も少なくありません。
一般的にタックスヘイブン(tax haven:「税の回避地」とよばれる、税負担の著しく低い国のことを指します)国としてはカリブ海のケイマン諸島やバハマなどが有名ですが、アジアでは香港、シンガポールが有名です。グローバル企業には相対的に税率が低いこれらの国に設立した子会社に多くの所得を留保することによって課税を免れる事態が生じやすく、そのような租税回避行為への対処が必要となります。「タックスヘイブン対策税制」とは、このような国際的な租税回避を防止するために講じられた税制のことを指します。具体的には、「一定の税負担水準(20%)以下」の外国子会社等の所得を我が国の法人等(以下、「内国法人等」とします)の所得とみなし、内国法人等の所得と合算して課税がなされることにより、国際的な租税回避に対処がなされます。
この場合、外国子会社の税負担が「一定の税負担水準(20%)以下」であれば、すべて合算対象となるかというとそうでもなく、外国子会社が法定される「適用除外基準」(※)のすべてを満たす場合には、合算の対象外とされます。したがって、「タックスヘイブン対策税制上」は外国子会社における「適用除外基準」の判定が重要といえます。
※①事業基準、②実態基準、③管理支配基準、④所在地基準もしくは非関連者基準の四つの基準が存在します。