特別償却か税額控除か
Ⅰ 平成26年度税制改正で生産性向上設備等について、即時償却を含めた特別償却と税額控除が認められることとなりました。また、生産性向上設備投資促進税制とはべつに中小企業者が設備投資を行う際に利用できる「中小企業投資促進税制(中促)」という税制措置がある。
中促の対象設備であって、「先端設備」又は「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」に該当するもののうち、取得価額要件を満たすものについては、中促の『上乗せ措置』として、生産性向上設備促進税制よりも更に厚い税制措置を受けることが可能。
経済産業省ホームページ:www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/seisanseikojo/setsumeikai140701.pdf
(1)生産性向上設備投資促進税制
産業競争力強化法に規定される、先端設備の導入、生産ラインやオペレーションの刷新・改善などで一定の規模以上の設備投資をした場合、即時償却または税額控除ができる
区分\取得日 | ~H28.3.31 | H28.4.1~H29.3.31 | |
特別償却 | 建物・構築物 | 即時償却 | 25%特別償却 |
機械装置など | 50%特別償却 | ||
税額控除 | 建物・構築物 | 3% | 2% |
機械装置など | 5% | 4% |
税額控除は、当期の法人税額の20%が上限とされます。
産業競争力強化法の施工日(平成26年1月20日)から平成29年3月31日までの取得等に適用
平成26年3月31日以前に終了する事業年度の投資分は平成26年4月1日を含む事業年度で適用可能
(2)中小企業投資促進税制
区分\規模 | 資本金3000万以下 | 資本金~1億以下 | |
特別償却 | 生産性向上設備 | 100% | |
その他の設備 | 30% | ||
税額控除 | 生産性向上設備 | 10% | 7% |
その他の設備 | 7% | 適用なし |
税額控除制度の対象法人が資本金または出資金の額が1億円まで法人に拡大
平成29年3月31日まで延長
(3)環境関連投資促進税制(エネルギー環境負荷低減推進設備)
区分\取得日 | ~H27.3.31 | ~H28.3.31 | |
特別償却 | ①一定の太陽光発電設備、風力発電設備、熱電併給型動力発生設備 | 100% | 30% |
②エネルギー利用設備等、二酸化炭素排出抑制設備等 | 30% | ||
税額控除 | 上記① | 7% | |
上記② |
Ⅱ 特別償却か税額控除か
特別償却は、その設備等の耐用年数の期間を通じて償却額の合計額は同じですが、初年度に大きく償却費を損金計上でき、その年度の法人税額が軽減されます。
税額控除は、設備等の償却額は通常と変わりませんが、別に税金を控除できるため、特別償却を選択したときより期間を通じての税額は少なくなります。
特別償却や即時償却は利益を圧縮して税金支払額を減らすことでキャシュ・フローを改善させて更なる設備投資を行い易くします。税額控除との選択適用でキャッシュに余裕があるなら、長い目で見ると、絶対的な法人税額の控除である税額控除の方が有利となる場合もあります。
即時償却でも通常償却でも償却額合計額は変わらないので納税額も変わらないことになるが、アベノミクス等で法人税の実効税率が引き下げられれば、現在の実効税率約35%を数年かけて早期に20%台まで引き下げることを検討しているようです。法人税率の引き下げがなされた場合、同じ利益(所得)であれば引き下げ後の方が支払う税額は少なくなります。したがって、税率が高い期間に繰り上げて経費(損金)化できるのであれば、トータルの税額は少なくなる可能性があるということです。
今後の税制の動きに注目し、会社にとって有利な方法を選択していただきたいとおもいます。