政府・与党は4月10日に「経済危機対策」を取り纏め、その裏づけとなる補正予算案を4月27日に閣議決定し国会に提出しました。この「経済危機対策」には税制改正項目として①住宅所得のための時限的な贈与税の軽減、②中小企業の交際費課税の軽減、③研究開発税制の拡充が盛り込まれておりますが、この②交際費課税の軽減では、現在の非課税枠(定額控除額)400万円が600万円に引き上げられることとされております。
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政府・与党は4月10日に「経済危機対策」を取り纏め、その裏づけとなる補正予算案を4月27日に閣議決定し国会に提出しました。この「経済危機対策」には税制改正項目として①住宅所得のための時限的な贈与税の軽減、②中小企業の交際費課税の軽減、③研究開発税制の拡充が盛り込まれておりますが、この②交際費課税の軽減では、現在の非課税枠(定額控除額)400万円が600万円に引き上げられることとされております。
そもそも、交際費も事業と直接に関係がある限り損金(経費)となるべき性質の費用であります。しかし法人が支出する交際費の中には事業との関連性が薄いものも存在すること、また、無制限の損金参入を認めると経費の無駄遣い(冗費)等が増大する恐れもあり、したがって、わが国の交際費の損金(経費)算入は法律(租税特別措置法)により制限がされています。この交際費の損金算入の制限(交際費の損金算入制度)は昭和29年の制度創設以来、度重なる改正を経て現行に至っておりますが、その改正の内容は平成15年の改正までは一貫して課税強化の方向でありました。しかし、平成15年の改正より若干ではありますが、課税緩和の方向に進んでいるといった特徴があります。
今回の改正も若干の課税の緩和となりますが、それは景気低迷が長期化する中で、企業の交際費の支出額が収益の低下と共に減少し、それが地域経済に影響していることを背景とし、景気刺激の一環として実施がなされるものであります。この改正により、各企業がどの程度交際費の支出額を増やすのか、地域経済に対する効果はわかりませんが、本来損金(経費)となるべき交際費についての課税が緩和方向に向かうといった内容を評価するむきもあります。
いずれにしても、景気低迷の中で商取引の円滑化のために、交際費は程度の問題はあるものの、必要な費用であることは言うまでもありません。重要なことは費用対効果の目線であり、この税制改正の動向も睨みながら、自社の交際費管理を行う必要があるものと考えます。
ちなみに、諸外国の取扱に目を転じると、程度の差はありますが、わが国と同様に損金算入に制限をしている国が多い(米:50%、英:全額、独:30%、仏:全額)といえます。