海外赴任者が所得税法上の「非居住者」とされる場合、赴任後の国外勤務に対応する給料は日本の国外で発生した所得(国外源泉所得)とされる(※1)ため日本の所得税は課税されません(※2)。したがって、受給する給料が国外の勤務に対応するものである限り、赴任元となる日本の親会社から赴任者の日本の銀行口座に振り込まれる(いわゆる「留守宅手当・日本払給料」と呼ばれる)給料についても、国外源泉所得であることから日本の所得税は課税されないことになります。このように所得税の取り扱いについては、海外赴任者が「非居住者」とされるか否かが重要なポイントといえますが、実務的にはその判断について迷う場合も少なくありません。
わが国の法令によれば、海外赴任者が「国外において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する」場合には「非居住者」と推定するものとされており(※3)、具体的には海外赴任者の海外における勤務期間が契約等によりあらかじめ1年未満とされている場合を除き「非居住者」と推定されることとされています(※4)。
実務的には海外赴任の辞令等に記載される赴任期間を基に判断がなされることが一般的といえ、海外赴任期間が1年以上の場合もしくは海外赴任期間の定めがない場合には「非居住者」となります。
(※1)所得税法第161条第8項(※2)役員報酬の取り扱いは異なります。(※3)所得税法施行令第15条。 なお、原則的には居住者・非居住者の判定はその者の「住所」(生活の本拠)にて判断がなされることになります(所得税法第2条)。(※4)所得税法基本通達3-3